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ヒトコワ

砂の唄さんによるヒトコワにまつわる怖い話の投稿です

にらめっこ
短編 2023/01/08 22:09 1,656view
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俺が大学生の時に住んでいたボロアパートでの話。その日俺は夕方から部屋で一人缶ビールやら焼酎やらを飲んでて、日が落ちるころにはべろんべろんに酔っ払ってた。酒が入って眠くなった俺はまだ早いけど寝ちまおうと思った。恥ずかしい話だけど当時の俺は相当ずぼらで、部屋の中は足の踏み場がないくらい物が散乱してた。だから、俺は押し入れの上段のところに布団を敷いてドラえもんみたいにして寝るようにしてたんだ。

布団かぶって気持ちよく寝てたんだけど、突然玄関のドアを叩く音で目が覚めてしまった。「何時だと思ってんだ」って思ったけどまだ20時くらいだったと思う。居留守使おうかと思ったんだけど、しつこくドアを叩くから仕方なく玄関まで出て行った。ドアを開けるとさ、なんと警察がいたのよ。それも一人とか二人じゃなく大勢、で、警察の隣に一回しか会ったことのない大家もいたの。警察が令状?みたいなの見せて何やら説明しているんだけど、こっちは酔っ払ってるもんだから何が何だか全く理解できなかった。全然話が進まないから半分強制退去みたいな感じで俺は部屋を出されて、入れ替わりで何人かの警察官が部屋の中に入って行った。

しばらくは俺もおとなしく待ってたんだけど、部屋の中がとんでもなく汚いことを急に思い出して、片づけなきゃとか思ったんだろうね、近くにいた警察官を振り切って部屋の中に走って行った。今思えば公務執行妨害とかで逮捕されてもおかしくなかったけど、俺は部屋の中までずけずけ入って行って、そこで見ちゃったんだよね。警察官が押し入れの天井裏からビニールに包まれた大きい何かを取り出してるとこを。

そのあと俺は近くのホテルに連れていかれてそこに一泊して、次の日改めて警察から話を聞かされた。結論から言うと昨日天井裏から出てきたのは死体で、前の住人が天井裏に隠していたんだと。なんでも、入念に防腐処理?がされていたらしく退去の時も業者の清掃の時も俺が入居した時も誰も気が付かず、前の住人がやっと口を割って初めて場所がわかったらしい。後日、大家と不動産会社と話をして引っ越すことに決まった。全くハッピーエンドではないが、俺はその部屋を出て行って話はおしまい。

一年近く死体と一緒に暮らしていたって言うと、まぁ誰だってぞっとするよな。でも、それ以上に俺がげんなりしたことがある。さっき警察官が天井裏から死体を運び出しているところを見たって言ったじゃん?その時俺しっかり見たのよ、その死体は顔を下に向けて放置されていた。つまりうつ伏せの状態でずっとあの押し入れの天井裏にいたってことだ。天井板が遮ってたからなんて慰めになると思うか?

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コメント(2)
  • 投稿者の目前に遺体の霊が現れることがなかったのがせめての救いです。

    2023/01/08/22:17
  • ご愁傷様です

    2023/01/13/22:42

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