すりガラスの向こう
投稿者:heeeko (1)
学生時代、アパートの1階に住んでいました。まわりは学生ばかりの町でしたし、大家さんも近くにいて治安がいい場所だと思っていたので、借りるときも2階以上というこだわりはありませんでした。
まだ肌寒い春の夜、ベランダで物音がしました。ベランダの向こうはキャベツ畑。昼間は作業をしている人を見かけるので、夜も作業されているのかと思っていました。
ところがカーテンの向こうに人影が見え、なんとなくその大きさからとても近いように見えたのです。
ベランダの手すりより手前、手すりを超えて内側にいる!そう思った瞬間恐怖で腰が抜け、立っていられなくなりましたが、その人影はすぐに消えました。
しばらく放心状態で部屋にいたのですが、カーテンをあけてベランダを見る勇気はなく、温かい飲み物を飲もうとキッチンに移動しました。
1人暮らし用の小さなキッチンで、お湯を沸かしていたらドアの向こうでまた物音がしました。
さきほどのこともあったのでびくっとしたのですが、集合住宅ということもあり、ほかの学生さんの出入りも、ドアの前をとおることもあります。
ほかの住人が帰ってきてうちの前をとおったのかな、ぐらいでそのままキッチンでお茶をいれていたら、ドンという音がしました。
音のほうをみると、キッチンのガス台の左、ちょうど私がたっている真横に小さなすりガラスのはめ込み式の窓があります。そこに男の人が顔を押し付けていたのです。
悲鳴をあげて窓をたたき、追い払うことはできたものの、無我夢中で警察を呼んだ後は、警官の人がくるまで震えて玄関にしゃがみこんで、泣いてしまいました。
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