謎の手
投稿者:りんご (1)
これは私が幼い頃の話です。
もう20年ほど前の話ですが、今でもはっきりと鮮明に覚えています。
私は地方都市の出身で、その市の中でも端の田舎に家がありました。
私の家の周りには公園がたくさんあり、小学生だった私は毎日学校から帰ると家にランドセルを置き、そのまま近所の公園に遊びに行っていました。
いつも5、6人の友達と鬼ごっこやかくれんぼ、缶蹴りをしていてとても楽しかったのを覚えています。
その日は地区の中でも特に大きな公園で遊んでいました。
その公園には大きな滑り台や野球の出来るコート、ベンチ、トイレなどの建物がありました。
私達はその日いつも通りに缶蹴りをすることにしました。
じゃんけんをし、鬼になった友達が目をつぶって数を数えている間に隠れる場所を探します。
私はトイレの裏の茂みの側に隠れることにしました。
トイレの建物と腰くらいの高さの茂みに挟まれて隠れ、鬼の様子をうかがっていると・・「ドンドンドン!!!!!!!!」と私がいるすぐ横のトイレの壁が叩かれました。
私は急に大きな音で叩かれたことに驚きそこから飛び出してしまい、鬼にすぐ見つかってしまいました。
叩かれた壁は、トイレの裏口になっておりすりガラスのようになっていたため、そこが大きな男の人の拳で叩かれたのを私は見ました。
私は男性トイレの側に女子小学生がこっそり隠れていることを注意されて叩かれたのかと思い、
そのトイレから誰かが出て来るのを待っていました。
どのような人が叩いたのか知りたかったし、場合によっては謝ろうと思ったからです。
しかし、缶蹴りをしながらそのトイレに注意を払っていても、どれだけ経っても誰かが出てくることはありませんでした。
そのうち一緒に缶蹴りをしていた友達のなかにいた男の子がそのトイレを使いに行きました。
その子が出てきた後、わたしはその子に聞きました。
「あのトイレ、中に誰かいた?」
「え?誰もいなかったよ。しかもこの公園にいるのずっと俺らだけじゃん」
私の横の、トイレの壁を叩いたあの手は何だったのでしょう。
今でもたまに思い出してゾッとします。
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