墓掃除での不思議な体験
投稿者:バイレン (3)
短編
2022/12/17
13:33
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30年前、子供の頃に経験した不思議な話です。
ある秋のこと、父の故郷へ、母とお墓掃除に行ったときに、小さな古いお墓が二つあるのを見つけました。だいぶ古いものらしく、ひとつは崩れてしまっていました。墓石に刻まれている文字から察するに、明治時代に亡くなった幼い兄弟の墓らしかったです。私と妹は不憫に思い、母にお菓子をもらうと、二つの墓石にお供えして手を合わせました。
そして坂をかけあがろうとして、ふと振り返ると、そこには崩れていたはずのお墓がきちんと立て直されていたのです。
もちろん、周りには誰も人はいませんでしたし、墓から目を離したわずか数秒のことでした。
ただ、不思議と怖いという気持ちは湧きませんでした。お墓で眠っている子供たちが、自分と同じ、年端もいかない子供たちだった、というのもあるのかもしれません。
それから何度か、引っ越すまで母に連れられ墓掃除に行きましたが、二つの墓は仲良く並んで、ちょこんと鎮座しています。
あれから30年経ちますが、お盆が来るたびに、あの兄弟の墓を思い出すのです。
この墓地では他にも、お墓で手を合わせていると、ずっと蜂が私たちの周りを飛んで離れようとしなかったり、思い返せばたびたび不思議なことがあった気がします。
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