友達の犬の置物
投稿者:バイレン (3)
小学生の頃の話です。
僕は柴犬を飼っていました。
それを見た友達が「いいなぁ、羨ましい、僕の家、団地で犬飼いたいけど飼えないんだ。」と話してくれました。
それじゃあ、一緒に夕方散歩しようと思いまして2人でよく散歩をすることになりました。
散歩をする度に「羨ましい羨ましい」と言う友達。
なんだか不憫になってきて、引っ越ししたら飼おうとか、大人になったら飼おうとかそんな話して慰めていました。
日々は過ぎて、その友達が学校で満面の笑みで僕の元に駆けて来ました。
「犬飼ったんだよ!」
「え?大丈夫なの?」と僕は聞き返しました。
「本物じゃなくて置物なんだけどセンサーがついてて人が通るとわんわん鳴くんだよ!」
良かったねと思い、友達に微笑みました。
置物でもすごく可愛がっているらしく、毎朝学校に行く前に行ってくるね。
『わんわんわん!』
帰って来ても、
『わんわんわん!』
僕も見せてもらったのですが玄関の前に陶器の可愛い置物で、僕が通っても
『わんわんわん!』と鳴いてくれました。
そして数日が過ぎて、友達が学校で青い顔をしていました。
僕が話しかけると血相を変えた友達が僕に教えてくれました。
「あの犬の置物あったでしょ?」
「うん○○君が可愛がってたやつだね」
「昨日夜中ね、深夜2時ぐらいだったかな…犬がずっと鳴いてたんだ」
「うんうんどうして?」
「お母さんが…外でヤンチャしている子たちがたむろしてそれに反応して鳴いてるんだろうって言うから見に行ったんだ。」
「うんうんそれでそれで?」
「そしたら玄関にも誰も人がいなくて外に出て上の階や下の階や色々なとこ見たけど人っ子一人いないんだ。」
「幻聴だったってコト?!」
「いやお母さんも弟も聞いてるから絶対幻聴ではないと思うんだけど、ずーっと『わんわんわん!』て鳴いているんだ。」
「…なんだかその犬の置物怖いね」
「…うん僕も怖くなってきて、ずっとわんわんわんわん鳴いてるから電池を抜こうとしたんだけどね」
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