念を飛ばす
投稿者:りー (118)
短編
2022/10/19
14:40
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私がOLをしていた時の話です。
当時働いていた会社には嫌な上司がいました。嫌味っぽく人のミスをネチネチ責めてくるような人で同僚は皆嫌っていました。
ある年新入社員にA子さんが入って来ました。A子さんは人懐っこく年上からも可愛がられるタイプでしたが、上司は少しの至らぬ部分も見つけ出しここぞとばかりに嫌味を言います。周りの同僚は「A子さん可哀想、ご愁傷様」と同情の目を向けていました。
しかしA子さんは元々明るい性格で細かな事は気にしません。心配になって気にかけても「大丈夫です」とニッコリと返します。
しかしある日事件は起きました。上司がA子さんの親まで否定する事を言ったのです。
自分の事だけならまだ我慢できますが、流石に堪忍袋の緒が切れたようでその日からA子さんの様子が変わりました。
上司を見る時、顔は笑っても目だけは絶対零度になっていました。
そしてある日上司が出勤中に事故に遭いました。大きな事故で一時生死の境を彷徨ったそうです。
それを聞いたA子さんは私に「先輩、実は私念が飛ばせるんです。親を否定されてからずっと上司に飛ばしてましたよ」と明かされました。
A子さんが始めの内に上司に嫌味を言われてもどこか余裕だった理由が分かりました。いざとなったら念を飛ばして痛い目に遭わせると言う奥の手があったのです。
A子さんの恐ろしさを知りました。それから私はA子さんの恨みを買わない様に彼女への接し方に気を付ける様になりました。
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