私の兄弟？

私が幼い頃、よく客人が来ていました。

大人同士の話している少し離れている場所で私はいつも座り込んで人形遊びをしまていました。

客人がトイレに行く際には私の横を必ず通らなければなりません。なのでそこを通る客人は私に話しかけてくれます。

とある日の客人は夫婦でいらしていました。その妻がトイレへ行き、その戻り道に笑顔で話しかけてくれました。

「かわいいお人形さんね。弟くんといつも遊んでるの？」 私は自分のお気に入りの人形が褒められて嬉しく、大きく笑顔でうなずきました。

しかし私はその女性に訂正しなければいけない事に気づきました。私には兄しかいません。大人たちが会話している場所へ近づいたものの、割り込むタイミングがつかめませんでした。私は断念して訂正するのを諦めました。

数か月後、別の客人がいました。大柄な男性でした。男性もトイレに行く際に話しかけてくれました。 「お、兄弟仲いいね！」 兄は自由奔放で明るく、私の自慢です。そんな兄と仲良しと言われた私は嬉しい気持ちです。

しかし大人になって気づきました。 兄はいつも外で遊んでいて、私が人形遊びをするときにはいつも一人。 あの女性が言っていた「弟」、あの男性が言っていた「兄弟」も本当に兄の事だったのか大人になっている今でも疑問です。