「なあ、なあ、なあ。」
投稿者:匂わせ様 (3)
携帯の着信で目が覚めた。誰からかの着信か確認せず反射的に電話に出た。
電話口で「なあ、なあ、なあ。」という声が聞こえてくる。どちら様?と確認するも返事はない。
再度電話口から「なあ、なあ、なあ。」という声が聞こえた気がしたが、私は眠気に勝てずその声を無視して再度眠りについた。
目が覚めて、意識がようやく覚醒した頃、夜中の着信の相手が気になり履歴を見た。が、着信があった形跡はない。夢だったかそれとも寝ぼけたのかなと思い、その日は気にせず大学へ向かった。
その日の夜。再度携帯の着信で目が覚めた。寝ぼけながら電話に出ると「なあ、なあ、なあ。」という声が聞こえてきた。
昨夜同様、どちら様?と尋ねるも返答はない。再度「なあ、なあ、なあ。」という声が聞こえたが、返事をする前に、またもや眠気に勝てずに寝てしまった。
翌日の朝、昨夜の着信を確認するが履歴はない。立て続けに可笑しな夢を見たなと思ったが、その日も気にせずに大学へと向かった。
その日の晩、三度携帯の着信で起こされた。流石に完全に目が覚め、着信に出る。完全に覚醒した状態で今度は「どちら様ですか?」とはっきりと尋ねた。
しかし返答はない。代わりに玄関の扉を隔てたところから「なあ、なあ、なあ。」というくぐもった男性の声が聞こえた。
怖くなり、布団を頭からかぶり、その日は震えながら夜を過ごした。翌日、明るくなってようやく改めて携帯を確認した。
相変わらず着信は確認できなかったが、設定した覚えのない午前2時にアラームが設定されていた。
自分がいつアラームを設定し、夜の訪問者は自分に何を伝えたかったのか、未だに謎のままである。
※コメントは承認制のため反映まで時間がかかる場合があります。