夢の行き先
投稿者:烏丸 (1)
霊感のある先輩から聞いた話です。
ある日、先輩は夢を観ました。真っ暗な深い森の中、一人で佇んでいる夢です。しかしその森の樹々の間には真っ白い手が生え、先輩手招きしていたそうです。おいで、おいで、という声も聞こえていました。
想像するだけでも恐ろしい光景ですが、先輩はその手招きに誘われるように進もうとしたそうです。しかし不意に腰が重くなり、驚いて下を向くと、娘さん二人が必死にしがみつき、いっちゃ駄目!、いかないで!と叫んでいたそうです。
でも呼ばれてるんだからいかないと、と困惑していたら、そこで目が覚めたそうです。
それから数週間後、先輩は再び夢を観ました。
今度は古い木の船に、船頭さんと二人で乗っている夢でした。大きな河を渡っているようですが、辺りは霧に包まれたように真っ白です。困惑していると、船頭さんが先輩にどちらに向かいますか?と問いかけて来ました。何も見えないのに、どちらになんてわからないと困惑していたら、そこで目が覚めたそうです。
また変な夢をはっきり覚えてるなと思いつつ、数日後、友人とお茶をしていた時に夢の話をしてみました。すると友人は、連れていかれそうになってるんじゃないの?と指摘してきたそうです。そこで初めてその可能性に気付き、慌てて自分なりの対処をして、夢も観なくなりました。
しかしその一ヶ月後、先輩の伯母様が亡くなりました。眠りながら逝った、と話を聞き、先輩は直感的にあの夢だ、と悟ったそうです。高齢な方だったので老衰でもおかしくないのですが、自分の縁を辿ってそちらにいったのだ、と。
その後先輩には特に何も無いそうですが、悪意も敵意もなく、霊に耐性のある人に警戒心を抱かせずに連れていこうとする「何か」がいたのは確かです。世の中で突然亡くなる方の中には、こうやってあの世に連れて逝かれる方も居るんじゃないかと思い、個人的にとてもゾッとした話でした。
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