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不思議体験

海苔さんによる不思議体験にまつわる怖い話の投稿です

お墓の隣に立つ家
短編 2021/02/18 12:02 1,351view

 私が昔住んでいた町は、小さな田舎町でした。小さい頃、小学校に通う道の途中になぜか不自然な場所にお墓がありました。畑の横にある荒れ地のような場所です。5つ位の墓石が立っているのみで、お墓と言ってもしっかり管理されている感じではなく、周りに何もない為、道路からもよく見え、いつもその前を通る時に怖くて友だちと猛ダッシュをしていたのをよく覚えています。その向かい側が森のようになっていた為、夕方頃になるとオレンジ色の街灯に照らされて不気味な雰囲気がありました。

そのお墓の横には昔ながらの家が一軒建っていたのですが、誰も住んでいる様子はありませんでした。お墓の隣という事もあり、しばらくの間空き家になっていたようです。
私が中学生になった頃にそこに移り住んできた人がいて、その古い家は取り壊され、今風の新しい家が建ちました。都会から移り住んだ人のようで、田舎ならではの町の付き合いなどには全く参加しない人で、近所の人も、どんな人が住んでいるのか全く知らないという状況でした。私自身も毎日通学路でその前を行き来していたのですが、一度もその人の姿を見た事はありませんでした。

そのうちその人もどこかへ引っ越してしまったようで、いつの間にか、またその家は空き家になりました。その後もその家には新しい人が移り住んではすぐにいなくなるという事が続きました。あまりに入れ替わりが多いので、近所では「あの家はお墓の隣にあるから、夜中に霊が出るんだよ。だからみんな怖くて引っ越してしまうんだよ。」という噂が立つようになりました。
その家の近くには数件家が建っていましたが、不幸な出来事が続いたり、家庭内のトラブルで事件が起きたりと不吉な出来事も多く起こったので、因縁を感じている人も多くいました。
私自身も成長し、その道を使わなくなってしまった事で、その後の状況をあまり知りませんでした。というか忘れかけていた位です。

それから10年近く経過したと思います。
大人になり、職場の先輩と食事に行った帰りに実家まで車で送ってもらった時の事でした。ゆっくり会話を楽しみたくて、遠回りをしてもらい、久しぶりにそのお墓の横にある家の前を通りかかりました。するとその家の中には電気が着いていて、中に動く人影が見えました。「今は人が入っているんだな。」と思いながらも、昔の出来事を思い出し、先輩を怖がらせようとふざけて昔の出来事を話しました。
家に帰り、両親に「あの家、今はちゃんと人が住んでるんだね!空き家のままだと治安が悪いし、住んでくれて良かったね!」と話すと、両親は「何言ってるの?あそこはここ数年誰も入ってないよ。」と言われゾッとしました。
明らかに電気が着いていて、動く人影を先輩と一緒に見たのです。

翌日、先輩に昨日の家での会話を話すと、「え?帰りもちゃんと電気着いてて、中に人もいるみたいだったよ!」と言われました。私との会話がとても怖かったので、私を送った帰りもそこの前を通るのが怖くて、はっきりと印象に残っていたとの事でした。
みんな不思議がっている割に、あの墓は誰のものなのか?昔からあるお墓という事だけは分かりますが、誰も知らないのです。

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