運命は行動を見ている

　とある友人は上司の迷惑行為に悩んでいました。具体的に言えば献血の強要です。言うまでもなく、献血は医療を支える良い行為です。しかし様々な事情で献血できない人はいるものですし、その友人も休日出勤や連日連夜の残業によりどんなに献血したくとも物理的にほぼ無理という状態にありました。

　とはいえ、当然のことながらその上司にとってはそんなことは関係ありませんでした。なぜならその上司にはひどいがんの妻がいて、定期的に輸血を必要としていたからです。ゆえに一向に献血に行かない友人たちには怒りを感じていました。結局その上司は友人のことを不当に低く評価し、実質的な左遷となるよう根回しをしたため友人は地方に飛ばされてしまいました。

　これに対し友人は怒り、絶望したことは言うまでもありません。本気で上司を刺してやろうかとさえ思ったこともあるとか。ところが彼は結局、気持ちを切り替え新しい職場で腐らず一生懸命に働きました。それが正しいと思ったからだそうです。そして実際、それは正解でした。おまけにその職場は前のものと違い余裕がある場所だったので、比較的良好な人間関係の中十全に能力を発揮することができたそうです。仕事を楽しいとさえ思えるようになったとか。

　一方、献血強要上司の方はというと他の若いのにも献血を強要していたせいかハラスメントで訴えられ、結局自身も左遷人事を喰らったのでした。月並みですが、人はいつか自分の行動の報いを受けるものなのでしょうね。まあ、その「いつか」がすぐには来ないので人は感情に振り回されるわけですが。