合同慰霊祭

私は東日本大震災の被災者です。

沿岸部で生活しておりアパートで犬と私の二人暮らしをしていました。

震災の日は仕事で家を出ており私は無事でしたが家は基礎部分のみを残して跡形もなくなっており、飼っていた犬も見つかることはありませんでした。

それから毎年３月１１日には家のあったところにドックフードと線香をあげに行くようになりました。

震災後２年目か３年目のことですが、いつものようにドックフードと線香をあげに行った帰りのことです。近くのコンビニに車を止めていたので元アパートからコンビニに向かって歩いていたところ、コンビニの向かい側の道路に黒い喪服を着た人が３０人ほどいるのが見えました。

ちょうど近くのアリーナで合同慰霊祭が行われていたので帰りのバスを待っている人がいるのだろうと思っていました。

歩いてコンビニに近づく際に大きな土手で数秒コンビニ方向の視界を遮られたのですが、土手を超えると喪服の人たちは一人もいなくなっていました。

驚きましたが怖い感じは一切しなかったので、きっと震災で亡くなった方が家族に会いに海から帰ってきていたのではないかとなぜか瞬間的にそう思いました。

現在では私の住んでいたアパートもコンビニのあった場所も２０ｍほど土が盛られ道路の下になってしまったので行くことはできませんし、見たのもその一度きりの不思議な体験でした。