船に乗りたかった
投稿者:Kiyo (2)
これは私が教員として勤務していた学校であった実話です。
その学校に私は3年間勤務していましたが、教員の仕事は世間で思われている以上にブラックで朝の7時から夜中の12時まで月に1日休みがあるかないか、最高で半年休みなくその状態で働いていました。
夜学校にいると23時30分ごろ必ず職員室の電話が鳴ります。これは幽霊ではなくアルソックなどの警備会社が「アルソックの〇〇です。今日は何時に帰られますか?」と警備上の都合で電話してくるだけです。毎日仕事ばかりで一般的な楽しみのなかった私はこの電話の相手の名前をメモして「今日はレアな人だなあ」とか「いつもの人だな」とちょっとした楽しみにしていました。
ただその日は翌日が授業参観日にもかかわらず教室内の準備が全く終わっておらず、教室内の準備に行くころには深夜2時を回っていました。
教室は3階だったため真っ暗な階段に真っ暗な廊下で気味のいいものではありませんが、ほとんど住んでいるようなものだったので一人でいることは大して苦ではありませんでした。
教室内の装飾や掲示物掃除などを済ませていると隣の教室から「ガタガタ!」と誰かが机や椅子をぶつけたような大きな音がしました。
「誰ですか?」と一応声をかけ見に行きましたが当然誰もいませんでした。さすがに気持ち悪いので残りの作業を手早く済ませ、アルソックをセットして帰ろうとしましたが、「理科準備室と体育館で異常があります」と表示され、その日誰も使っていない理科準備室などの確認をして施錠しなおして家に帰りました。
その日は特別遅くなり色々なことが立て続けに起こりましたが、そんなことはよくあることでその学校に勤務している先生はいつも体験していることでした。
そんなある日、この学校出身の年配の先生に「この学校気持ち悪いですよね」と何気なく話をしていたら、その先生が学生の頃には全校生徒・職員で幽霊を見たことがあると話してくれました。
当時は全校集会を校庭で行っており、校庭で整列し校長の話を聞いているとき、3階の角の教室から校庭を見下ろす女の子がいたそうです。当時は校内暴力に体罰も全盛期の頃だったので、話してくれた先生も「勇気ある女の子だなあ」と思っていたそうですが、そのとき女子の列から悲鳴があがったそうです。それに気づいた生徒指導の先生が視線の先の教室に女の子がいることに気付き「何やってんだ!」と竹刀片手に教室に走っていったそうです。
あとでなぜ悲鳴を上げていたのか聞いてみたところ教室にいた子は先月死んだ子だったそうです。
話してくれた先生はそのあと面白半分でその教室を友達と隅々まで何かないか探したら黒板の裏の隙間に画用紙が挟まっていることに気づいたそうです。
その画用紙には船の絵とその亡くなった女の子の名前が書かれていたそうです。その子は将来漁師になって海で働きたいと思っていたが、その夢のなかば亡くなってしまったため今でも学校中をうろうろと徘徊しているのではないかなと話してくれました。
特に悪さをするわけでもないですが、学校を施錠するときの異常個所が確認するたびに移動したり、職員室にちょっとずつ近づいてきたりするのは気持ち悪かったので勘弁してほしかったなあと思う一方、女の子の遊び相手になってあげられてたのならよかったのかなとも思う話でした。
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