神仏に呼ばれた弟
投稿者:蝦ちゃん (1)
私が体験した、ちょっと不思議な話を書かせてください。
私の弟は、昔から何かにハマるとそればかりになってしまって、そのことの知識に関しては、誰よりも群を抜いてしまうほどに調べまくっていて、世間一般から考えられる「普通」とはだいぶかけ離れた子でした。
どのくらいかと言うと、幼稚園の年少くらいから原爆のことを本で読んだり、調べたりして、他の子供が気にならないことをずっと調べているくらいに。
私も、弟と同じようにハマればそればかりになるらしく、母は姉弟揃って普通とは違っていると、今でも言います。
そんな弟が小学生になったすぐくらいにハマったのは、誰しもが目にしたことがある「観音様」でした。
学校から家に帰ってくれば、私の隣で観音様に関しての本を読み耽り、それはどういう観音様なの?と聞けば、目を輝かせて話し始めるくらいに、ハマっていました。
私もその頃は日本の神様が好きすぎるくらいに好きでハマっていたので、どこか普通では無いのですが…当時の弟は、私の目から見ても首を傾げてしまうくらいに、ハマりまくっていたのです。
そんなある時、両親がせっかくだから観音様のところに遊びに行こう、と言いました。
弟は大喜びしていたし、私も遊びにいけるのは嬉しいので、本当に楽しみにしていました。
場所はどこにするのか、そんな風にわくわくと弟と二人で話していて、実際に行ったのは牛久大仏でした。
行ってみたかった場所なので、弟は飛び跳ねて喜んでいたし、行く前に調べて行くんだと本を引っ張り出して調べ始めて、本当に楽しみにしていました。
当日、車に乗って牛久大仏へ。
車の中でも、弟は大はしゃぎでした。
でも、私は朝からずっと体の中がぐるぐると回っているような感覚がして、どうしても楽しい気分にはならなかったのです。
あんなに行きたかったのに、朝になって行きたくないと考えるのは、どこかおかしいな、とも思いました。
しかし、車はそんなことも知らずに牛久大仏に到着します。
私たち家族は、大興奮する弟を筆頭に、牛久大仏に入りました。
中に入ると、そこは厳かな雰囲気で、誰も喋っていないような静かな空間が広がっています。
その空気に圧され、弟と繋いでいた手をぎゅっと強く握りました。
一番上から見に行こう、と向かったのは展望台。
天気も青空で、周りがとても綺麗だったのです。
そのまま下に行こうと降りて、金色に輝く空間を通り過ぎ、廊下のような場所に並んだ小さな観音様を眺めて、私たちは楽しんでいました。
そんな時でした、弟が私の手から離れているのを知ったのは。
弟の手を離してしまった、そんな風に焦りながら弟を探しました。
牛久大仏の中は広いので、どこかに行ってしまったら走ってでも探すしかありません。
ちょうど私たちがいるのは4階で、展示パネルが軒を連ねる静かな空間。
人も少しはいますが、目の前の展示を見ているからか、弟がどこかに行ったのを見ていた人もいません。
階段やエレベーターもありますが、まだ小学1年生くらいの弟が一人だけで乗ったとは考えられないと両親が言っていたのですが、どうしても私は下に行かなければならない気がしました。
そう言いながらも、私の言葉を鵜呑みにすることはなく、両親は4階を探し回ります。
私はあまり覚えていないのですが、ずっとエレベーターの前で下に行こう、下に行こうとひたすらに言っていたそうです。
どうしても、2階に行かなければいけないと、ずっとエレベーターの中でも3階じゃない、2階だから早く、早くしないとと言い続けていたそうです。
不安のまま4階をくまなく探し、そのまま下に降りて3階も全て探し、そして私がずっと言っていた2階に来ました。
牛久大仏って中は鉄骨でエレベーターがあり、銅板は数ミリなんだそうな。
ちゃんと溶接されてるのか気になる。
ハポラトル