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不思議体験

M紀さんによる不思議体験にまつわる怖い話の投稿です

友人のお隣さん
長編 2022/05/18 19:39 4,144view

これは私が大学生の頃の体験談です。

東京多摩地区の某私立大学に通っていた私。名前はM紀としておきます。地方出身なので、大学の近くにアパートを借りて暮らしていました。

私の実家はそこまで裕福ではなかったので、学費は出してもらっていましたが仕送りはほとんどなく、生活費はバイトをして工面していました。

そんな私が当時仲良くしていたのは、実家が東京区内で電車通学のT美と、同じく地方出身でアパート暮らしのS帆。

同じゼミに所属していたこの3人は、授業もかぶっていることが多く、学内でも学外でもいつも一緒に過ごしていました。

3人のたまり場はもっぱらS帆のアパート。S帆は大学徒歩圏内の私と、区内の実家暮らしT美の中間地点にアパートを借りていました。

S帆はお姉さんと暮らしていたので、アパートは大きめ。間取りは2LDKでしょうか。駅からそう遠くなく、繁華街というより落ち着いた界隈にあります。

S帆のお姉さんは学校やバイトで不在がちだったのですが、私たちが大学2年になった年から、ドイツに留学に行ってしまいました。

そのため、みんなはさらにS帆のアパートに入り浸ることに。泊まりこみで集まることもありました。

3人とも彼氏はおらず、女だけで遊ぶのが楽しい頃でした。

さて、大学2年の後期が始まったころ。事件が起こります。

S帆の部屋の隣に、誰かが引っ越してきたようなのです。

このアパートは結構古めのアパートだからか、なかなか借り手がおらず、少なくともここ1年半はずっと空き部屋でした。

「お隣さん、どんな人なの?」とT美が聞きました。授業中ですが、みんな私語ばかりの時間です。

「わかんない。まだ姿みてない。」

「え、あいさつとかで会ってないんだ?」私は少しびっくりしました。私は今の部屋に引っ越してくるときにお隣さんにあいさつに行ったのだけど。

「いやさ、そもそも引っ越しの現場を見たわけでもないんだけど、ベランダにあった入居者募集の看板が無くなっててさ。郵便受けも鈴木って名前がつけられてたから、あー誰か来たんだなって。今のとこそれだけ。」とS帆。

やはり都会は引っ越しのあいさつをしないものなのでしょうか。

「3人で騒いでうるさくしてクレーム入れられる前に、こっちからあいさつ行っとかない?」と提案しました。

「いやいやいや、こっちは女子大生3人なんだからさ、向こうが変なおじさんだったら危ないよ。ほっとけばいいよ。」とT美。

「うーん。なんか今のとこゴソゴソ生活音とか気配がするだけでお隣さんが男か女かすらわかんないしなあ…」

「じゃあ今夜またS帆の部屋集まってみんなで様子みよ!」というT美の提案で、S帆の家で遊ぶことに決まりました。

私は夕方に塾講師のバイトがあるので、21時過ぎから合流することに。

T美とS帆が料理を作って、バイト終わりの私が加わってみんなで食べる、というのがお決まりのパターンです。

講義が終わってから解散し、私は自分のアパートでスーツに着替えてからバイト先の塾へと向かいました。

今日の受け持ちは中学受験の小学生の算数クラス。お受験と聞くとギスギスしたイメージでしたが、今日のこのクラスの子たちはなごやかでのびのびとした性格の子が多いのです。

さて、バイトが終わってスマホを見ると、いつもは二人から連絡が入っているのですが、今日は何もありません。

新着メッセージの通知がなく、なんだかさみしい気分。こんなことは初めてです。

「いま終わったー!疲れたー!今日のご飯なに?」
わくわくした様子のスタンプと一緒に、3人のグループラインにメッセージを送りました。

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コメント(1)
  • ドッペルゲンガー説アリ・・・・
    ためはち

    2022/05/19/07:51

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