友人のお隣さん
投稿者:M紀 (1)
いつもならすぐ既読がつくところですが、しばらく待っても未読のまま。
私がバイトして頑張っている間、二人は楽しく何かに夢中になっているんだと思うとなんだかみじめになってきました。
二人はバイトしなくても親が助けてくれるから。私は自分で働かないと生活できない。
どんどんみじめになってきて、気が付いたらこうメッセージを送っていました。
「ごめん。生徒から風邪もらったみたいで、なんかしんどくなってきた。うつしたくないし、今日は自分の部屋に帰るね。」
その前に送ったメッセージは削除。どうせ未読のままでしたし。
不思議なことに、なんだか本当に寒気がしてきて、急いで部屋に帰り、夕食も取らずに寝てしましました。心身ともに疲れが溜まっていました。
翌朝。気まずいのですが、今日も午前から3人同じ授業があります。頭痛がしますがこの授業は出席で評価が決まる授業。単位は落としたくないので、学校に行きました。
昨夜からスマホには特に見ていませんが、歩きながらSNSをチェック。
昨日のラインのメッセージは未読のまま。T美のインスタを何気なく開いてみました。私もS帆もインスタは閲覧専門なのですが、T美は毎日数件投稿するタイプなのです。
昨夜の投稿。二人が作ったであろうビーフシチューの美味しそうな写真と、3人の女性の笑顔の写真。
愕然としました。その3人。T美と、S帆と、スーツ姿の私。
私は昨日自分の家に帰りました。私がS帆の部屋にいるはずはないのです。ありえない。
ふと前をみるとS帆とT美の姿が。T美はS帆の部屋に泊まって一緒に来たのでしょう。
「おはよー」といつものように楽しそうな笑顔の二人。こちらは混乱でそれどころではありません。うまく返事できず、結果的に無視していまいました。
そのまま口も聞かず、講義が始まりました。いつもは近くに座るのですが、私は二人から離れたところに一人で座りました。
なぜ行っていないのに私が写真に写っているのか。もしかしてS帆のお隣さんが私のドッペルゲンガーだったりして…そんなばかな。
だいたいメッセージも全部無視されているし。イライラが止まりません。
講義が終わったところでS帆が話しかけてきました。
「M紀ごめんね、許して。ちょっと悪ふざけが過ぎたの。」
三人で学食でランチを取りながら話しました。
「昨日二人で頑張ってシチュー作って待ってたのにさ、M紀が勝手に帰っちゃって、私たちちょっと怒ってたの」とT美。
私も人のことは言えませんが、T美はちょっと短気なところがあります。
「せっかく3人分あったし、お隣の鈴木さんに話しかけるチャンスかなと思って、鈴木さんとこ訪ねたの。」S帆が話し始めます。
「鈴木さんはアラサーくらいの女の人でね、一人暮らしだって。聞いたらご飯まだっていうから、うちに招いて3人で食べたの。」
「あのインスタの写真はなに?鈴木さんじゃなくて私だったよね。どういうこと?」と聞くと、T美は少しいじわるそうな笑みを浮かべました。
「鈴木さんてフォトグラファーなんだって。昨日M帆が来なくてムカついてたから、鈴木さんがフォトショップしてくれたの。」とT美。
「ごめんね、怒った…?」とS帆。
「大丈夫。それにしても鈴木さんプロだね。すごいね。今夜は4人であそぼっか。」と私。
T美は高飛車で私と衝突することもありますが、S帆がクッションになり私たち3人の調和が取れています。今回も無事仲直りして、夕方S帆のアパートに行きました。
ドッペルゲンガー説アリ・・・・
ためはち