原因不明の発熱と祖父の願い
投稿者:テグス (1)
僕が小4、10歳の頃の話です。
その頃、元気一杯で学校もあまり休んだことのない子供だったのですが、ある時に突然発熱しました。咳もかなり出ましたし、体温も40度近くまで上がったのです。
もちろん、親は僕を病院に連れて行きました。
でも、診察結果は「風邪」。
あまりの高熱だったのでただの風邪ではないのでは?
そう思いながらも様子を見ていたそうです。
しかし熱は上がったり下がったりの繰り返し。
薬を飲んでも安定しませんし、咳も激しくなる一方。
親はいくつかの病院をまわって診察してもらいましたが、喘息や百日咳など、それらしい病名を告げられるものの病状は変わりませんでした。
ついには検査入院までしたのですが、原因は不明。
もちろん学校も長期にわたって休むことになります。
1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月と時は過ぎ、なんと半年間も学校を休むことになったのです。
ついには仮病で登校拒否をしているのではないか?そんな疑いまでかかりました。
困り果てた親は、当時僕が習っていた剣道の先生に相談しました。
病気じゃないのかも知れないと思った先生は、とある知り合いにお願いして霊媒師さんを紹介してくれることに。
さすがに親も霊媒師って・・・と思ったそうですが、その時は他に頼るあてもなく、ダメ元で
お願いしてみました。
その霊媒師さんはかなりのご年齢のお婆さんでした。たしか高野山の方にいらっしゃった方だったはずです。
そのお婆さんは部屋に入ってくるなり、僕のことを見ただけで家族構成をはじめ、僕自身の性格面、その場にいなかった兄弟のことなど、家族でしか知りようのないことを言い当てたのです。
流石にこれには家族全員が驚きました。
お婆さんは僕のことをじっくり見た後、静かに話し出しました。
「君にお祖父さんの霊がついてるよ」
その時、父方の祖父は亡くなっていたのですが、その祖父のことを指しているのではありませんでした。
その時に知ったことですが、父は養子になっており、実の父親は別にいたのです。
しかも、その方は戦死していると・・・・
お婆さんはその霊と話ができるのか、黙って頷いていたのですが、その後、祖父の言葉を話をしてくれました。
「戦争で自分は死んでしまったけど、お墓もない、そして供養もしてくれていない。それを報せたかったから、この子に憑いている。せめて供養してほしい」
そうお祖父さんは望んでいると。
父は養子に出たこともあり、実の家とは疎遠であったようです。
でも確認してみたところ、確かにお墓もなければ供養もしていないことが分かりました。
ひどい話ですよね・・・
こういう系を読むといつも思うけど、祟るんじゃなくて、夢でもいいから伝えてくれー!と思う。
いい迷惑だよね。
文章も整っていて、ストーリーも筋が通っている。読後感も爽やかだった。珍しいほどの佳作だと思う。