知らなかったから怖かった話

近所には夜中に立ち入ると霊と出会ってしまうと噂の森があります。

森とは言っても入り口から出口までの道は舗装されておりちょっとしたハイキングコースとして使われている様な本格的ではない森です。

その森では夜中には不良がたむろしていたり、舗装されているとはいえ暗い中を歩くのは危険だからと子供達を脅かす為に怪談話を流行らせたらしいですが、中には噂を信じて肝試しに行ってしまう子も居たりします。

かく言う自分も中学生の頃には友達数人を連れて肝試しに行きました。

森の中の道は登って下って、南から北へと抜けるだけの一本道であり20分もすれば歩けてしまう距離なのですが、総勢4人に対して懐中電灯一本できてしまったので前に進むのに苦戦しながらの肝試しになりました。

季節が夏場であり、半袖できてしまったので虫の羽音に驚いたり、草木が肌に触れて騒いだりしながら歩き続け下りにさしかかった時、ふと舗装された道の横にある草の中からかさかさという音が聞こえました。

一瞬驚いた自分達でしたが野良猫か何かだろうと懐中電灯を音のした方向へ向けると何やら黒い物体が見えました。

明らかに小動物とは思えないシルエットにおそるおそる皆で近づくとそこには長い髪の毛に白装束を着た人物が森の中にうずくまっている様子でした。

見るからに幽霊なその姿に驚き大声を上げながら全員で森を走り脱出しました。

あれが一体何だったのかは実は翌日に判明するのですが、同日同時刻に地元の高校生達が肝試しをやっていたらしく、白装束をきた人は驚かす役として事前に森で待機していたとのことでした。

事実を知ってしまえば何てこと無い話ですが何も知らなかった自分達は夜中まで幽霊を見たから呪われるとか、お祓いに行った方が良いのか等々ビビっていました。