後ろ姿しかない男の子
投稿者:きーま (8)
これは私の地元の話です。地元は炭鉱の町でした。
私が生まれた頃にはもうほとんどが閉山し、寂しい町になっていましたが、かつては大きな町であり、子供も沢山居て、生徒数が2000人、3000人のマンモス小学校がいくつかありました。
炭鉱閉山と共にその学校も相次いで閉校になり、私の子供の頃には肝試しスポットになっていました。
閉校した小学校の一つに、ある幽霊の噂があり、夜に行けば90%の確率で目撃できるとのことで、結構な真夜中に行っても、誰かが肝試ししているというくらい有名でした。
その幽霊とは、体操着姿の男の子で、廊下、体育館、教室など、色々なところで目撃されていますが、いつも後ろ向きに立っていて、決して正面を見せることがないとのこと。
ずーと見ているとうちに薄くなってすぅーと消えてしまうらしいです。
同じクラスの友達も何人も目撃していて、幽霊に会うこと自体は難しくないようでした。
そうなると、「幽霊の正面を見てやろう」とする輩が増えはしましたが、誰も成功しませんでした。
そしてある深夜、ついに私もその幽霊の正面チャレンジに挑むことになりましたが、学校の前まで来て、急に怖くなって中に入れませんでした。
学校の玄関前には、私達の他にも肝試しをしていたグループが3つくらいあり、ざわざわとしていたので、私は学校の外で待つことにしました。
ざわざわしていた玄関前でしたが、他のグループもみんな校内に入り、私一人になってしまい、怖いので一人で帰ることにしました。
2.3分帰路を歩いていると、遠くの方からこちらに向かって、一人で走ってくる人が見えました。
一本道なのできっとすれ違うはず。「あの人も肝試しかな?」と思っていました。
だんだん自分に近づいてきて、暗いのではっきり見えたのが割と近距離に迫ってからでしたが、正面から走ってくる人は体操着姿の子供、しかも後ろ向きで走ってくる。
「キャー、絶対あの幽霊に違いない」
まさしくその幽霊とすれ違った瞬間、「今、後ろを見たら幽霊の正面が見られる」そう、私は気がついてしまったのです。
そして、すれ違った直後に思い切って後ろを振り返ってみました。
そうすると、なんと、後ろ向きで走ってきたはずなのに、幽霊は後ろ姿だったのです。
私はなんとも恐ろしくなり、それから一度も振り返らず、走って家まで帰りました。
地味に怖い