いつもの人
投稿者:漆黒の川上 (1)
今からお話するのは、私が高校1年の時の5月頃の話です。
私は電車を利用して、高校に登校していました。いつもと同じ7時半頃の電車に乗り、いつも本を読んでいました。そして、最寄り駅から二番目の停車駅から「いつもの人」が私の隣の席に座ります。そのいつもの人は30後半の赤いネクタイをした男性でした。その男性はいつも私の隣に座ると、荷物を膝の上に置き、じっとしていました。その男性が初めて隣に座った4月頃、私は男性のことを「大人びた人だなあ」とだけ思ってましたが、一ヶ月経つと、私は男性のことを不気味に思い始めました。なぜなら、いつもじっと前を見て座っていたからです。普通の人なら、スマホや本を読んだりして、アクションを起こしますが、その人は来る日も来る日もじっと座っていました。
5月中旬、私は高校の学外研修のために、いつもと違う7時出発の電車に乗りました。電車に乗ると近くの席が空いていたのでそこに座り、「着信アリFinal」を読んでました。「なんで1,2で終わらせなかったんだ…」と思いつつ、本を読んでると、私の隣に誰かが座りました。私は驚きました。隣に座ってきたのは「いつもの人」だったのです。「えっえっ…なんで…」と私は困惑してましたが、落ち着きを取り戻すと、「まあこの人も今日は早いんだろうな」と片付けました。その日も男性はじっと前を見て座ってました。
次の日、私は昨日の学外研修での相田のマジキチ行動に切れながら、7時50分頃の電車に乗り、本を読んでました。「クソッ相田め…俺の席でカロリーメイトのカスを落としやがって…」ボスッ 隣の席に誰かが座ったようです。お気づきの通り、「いつもの人」でした。私は最初、「お…俺のこと…狙ってる♂!?」とおちゃらけてましたが、徐々に恐怖心が上回り、かなり異常なことであると理解し、早く席を立ちたくなりました。とりあえず、私はトイレに逃げ込みました。無論、鍵はかけました。トイレは私を我に帰させてくれました。そして、私を結論にたどり着かせてくれました。「別に何も害はなくね」ということに。
私は夏休みに入るまで、いつもの人とともに通学をしました。電車の時間を少しずらしてみたり、いつも乗ってる場所を変えてみたりしましたが、いつもの人が隣に座ってきました。7月の中旬になると私は諦めてました。別に諦めても、諦めなくても日常は変わりませんが。
夏休みが明け、私は電車で「リング」を読んでいました。私は不思議に思いました。なぜなら、もう例の駅に止まったのにいつもの人がいないからです。その日以降、私の隣にはいつもの人が座ってきませんでした。それどころか、私の隣には誰も座ってこなくなりました。
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