わたしはマツダさん？

高校生の頃、きっかけは忘れたけど携帯の電話番号を変更したらその途端間違い電話がよくかかってくるようになった。

その電話の主は決まって「マツダさんですか？」と言うので以前この番号を使っていたのがマツダさんという方で、電話に出た瞬間切られることも多かったから恐らく男性だったんだと思う。

それから知らない番号は着信しない設定にしてからそんな電話に悩まされることはなくなったけど。

SMSでは頻繁にブラックでも融資可能だの、債務がどうたらだのそんなのばかりくるし、履歴に残ってる番号を調べたら不動産どうたらとか街金とか、そんなのばかりだったからきっとマツダさんはまあ碌でもない人だったんだろうね。

それから地元を離れて進学から就職して自分名義のスマホを持つためにまた電話番号を変えて、すっかりそんなことも忘れてたある日の通勤途中の駅。

わたしが落としたものを見ず知らずのおばさんが拾ってくれたのでお礼を言って受け取ったら「あの、マツダさんじゃないですよね？」と言われた。

違いますと言って逃げて来たけど、今思い返しても少し怖い。

マツダはもちろんフェイクだけどありふれてる苗字だし、なんの関係もないと分かってはいてもなんだかほんのり怖かった出来事です。