個性を消さない程度に邪心を取り払う

私の幼少期はそれはそれはヤンチャだったようで、公園で知らない子のおもちゃを取り上げ、怪我させる事もしばしば。
それを見かねた母は、ある決心をします。

”あのお寺の住職にお願いをしよう”

あの神社とは、宮城県Ｘ市にあるお寺で母の実家の近くにありました。
そのお寺では憑き物を排除できる事で地元では有名で、特にすごいのは邪心を取り払う事が出来る事です。

母に連れられそのお寺にいくと、住職は”この子の個性を消さない程度に取り払うね”と言い、私の手を擦ったそうです。
すると爪の間から白い糸のようなものが出てきて、指から離れるとふわっと空気中で消えたそうです。

住職はこれ以上やるとこの子の個性がなくなるからここで終わりと言い、母は狐につままれたような気持ちで帰ったそうです。
しばらくはヤンチャさが残っていたそうですが、ある時公園に行き、私が欲しかった玩具を持っている子供がいたのですが、なんと取り上げるではなく
貸して欲しいとお願いをしに行ったそうです。

母は確かに変わったと実感したそうです。これでめでたしめでたしにしたいのですが、じゃあその後どうなったのかというと
私は争う事をしなくなっただけではなく、自分の意見を言う事が全くできなくなったのです。

今思うと住職は私から個性を取りすぎたのではないかなと思っていますが、これはこれで良かったのかなと思います。
もしあの時母がお寺に連れて行っていなかったら、私は反社会的勢力になり、普通の人生を歩めていなかったかもしれません。

もし私のように個性を捻じ曲げるような事を考えている方がいらっしゃたら、ある程度覚悟をしてやることをお勧めします。