あまり知られていない古戦場にて
投稿者:津々 (42)
私の住む街を流れている川には戦国時代に大きな戦があったといわれています。
歴史の教科書には載ってはいないのですが、供養のために慰霊碑や戦のあらましを書いたオブジェもあり地元では有名です。
高校生の時にルアーフィッシングにはまり同じ趣味の同級生と友達になり一緒によく池や湖に出かけていました。
そんな時、友達が“雷魚”という川魚がいる事を知りしかもブラックバスより引きが強く楽しめるという事で雷魚を釣る事にしたのですが、なかなか生息地がわからず適当な川でルアー投げては試していました。
お目当ての雷魚を釣る事ができずにいると友達がある情報を仕入れてきました。その内容は見た目とは違い雷魚は臆病な魚で夕方や朝方が釣れる時間帯という事、そして私の住む街の“あの川”に生息していることがわかりました。
友達は「どの時間帯を狙おうか」と張り切っていましたが、私は昔からあの川には近づくなといわれていました。理由は武士の霊が出るといわれていたからです。
しかしそんな事を友達に言えるわけもなく友達の提案で夜釣りをすることにしました。
深夜の0時から釣りを始めた私たちは自分たちの位置がみんなにわかるようにと釣り竿の先にヒカル釣り具(魚魚ライト)を付けてライン(糸)も蛍光色の物を使いお互いの位置がわかるようにしました。
釣り始めて2~3時間たったころ私の近くで友達のラインが見えました。なので私は「釣れたかー」と声をかけても返事はありませんでした。
「なんかおかしいなー」
と思いながらもう一度「おい!釣れたのか!」と強めに聞きましたが、反応はありませんでした。
釣れない事と無視されたことで腹が立ち友達の方に近付き「無視すんなよ!」というとそこには友達の姿はありませんでした。そこに立っていたのは血だらけになりながら刀を振る武士でした。
私は声にならないような叫び声を出したのは覚えていますが、気が付いた時には川辺で友達に起こされていました。
友達の話では、私の叫び声を聞いて駆けつけると私は川にうつぶせの状態で浮いていたそうです。もし友達が駆けつけてくれなかったら私は…
ちなみに私が友達のラインと思って見ていたのはたぶん刀に写る月明かりだったんだと思います。あと私が着ていた釣りのベストが袈裟斬りされた様に裂けていました。
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