自殺が相次ぐ高校

これは数年前の話です。
当時、私は高校一年生で夏休みに入る前あたりでした。

その高校では屋上から飛び降り自殺がありました。自殺した生徒は２年生で特にイジメに合っていたわけでも友人関係や家族関係に悩んでいたわけでもなく全く問題もない生徒でした。

ある日、同じ部活の３年生にこんな話を聞きました。

「今回も２年が自殺したんでしょ？これで２年続けて２年生が自殺してるよね」

私は耳を疑いました。
そんなに生徒数も多くない高校なのに二年続けて自殺者が出るのはおかしいと思いました。

しかし自殺者が出て数日は「イジメがあったんじゃないか？」「進学に悩んでいた」などの憶測は流れましたが、１ヵ月もしないうちに自殺した人のことも自殺があったこともみんな忘れていきました。
当然、２年続けて自殺者が出たので“心霊体験をした人“や”心霊写真が撮れた人“など怪奇現象や心霊現象の話はありました。

そんなことを忘れかけた頃、私は高校２年生に進学していました。すると夏が近づくにつれ去年の自殺者の話が怖い話として広がり始めました。１年生はこの話に怖がりながらも楽しんでいたのを覚えています。

ある日、部活の大会が近い事もあり夜まで練習をしてました。中学からの親友２人もおなじ部活に所属していていつも３人で行動をとっていました。

大会まで残り１週間という所で追い込みとして学校で合宿をすることになりました。部活が忙しく自殺者の心霊現象とかは全員の頭から忘れていました。

早朝から数ｋｍのランニングや筋トレをして日中は勉強をして１６時には実戦練習などをこなし２２時近くまで練習して体育館に布団を敷いて近くの銭湯を貸し切りにしてもらいお風呂に入り２４時までには就寝という超ハードな合宿でした。

そんな合宿の6日目にある出来事が起こりました。
部活の練習中に同じ２年生の同級生が体調を崩しました。今の時代はスポコン（スポーツは根性論）というのはないので同級生は保健室で休むことにしました。

いつも通りに２２時近くまで練習を布団の準備をしてもらっている間に同級生を呼びに保健室に行くと同級生は真っ青な顔をしてベッドの上で震えていました。私たちは何があったのか同級生に聞きましたが、その子は何も答えずただ震えるだけでした。

部活の顧問も何度か質問をしたのですが、答えが返ってくることもないので「体調が悪化したんだろう」という事で親御さんに迎えに来てもらい帰宅することになりました。

そして大会は当日、あんなに練習したのに２位でした。
それでも私たちは嬉しく大会後、親も交えて祝賀会と３年生が引退するのでお疲れさん会の様なものを開いて私たちは楽しく過ごしていました。

次の日、私たちが学校に行くと校庭に警察車両が停まっていました。

先に学校についていた友達に話を聞くとなんと「合宿の途中で帰った同級生が学校から飛び降り自殺をした」という事でした。

私達があんなに楽しくいい思い出を作っている時にあの子（同級生）は自殺してしまった…
もしかしたら同級生は大会を目前に体調を崩した自分に対して悔しかったり悲しかったりして自殺してしまったんじゃないか。もしそれに私たちが気付いていれば同級生は自殺を思いとどまったんじゃないか？
といろいろ考えてしまいました。

葬儀にも参列したかったのですが、３年続けて自殺者が出たという事もあり去年よりもＴＶの報道が激しく顧問の先生しか参列できませんでした。

そして学校は自殺した同級生や過去に自殺した人のウワサでもちきりでした。去年の私たちはこんな感じだったんだと思い「悲しんでいる人」がいるのにと思いました。

部活は同級生の自殺と大会後という事もあり１週間の休息期間になりました。
でも私は部室に行きました。親友とまではいかなくても同じ学年で同じ部活に所属して仲間の思い出は部室に詰まっていたからでしょうか？私は部室で大泣きし同級生の死は耐えられませんでした。

私は涙をふくために部室の自分のロッカーからタオルを出そうと思いロッカーを開くと手紙が出てきました。差出人は同級生でした。
私は中を慌てて確認しました。その手紙に“自殺した理由”が書いてあると思ったからです。