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心霊

壇希さんによる心霊にまつわる怖い話の投稿です

かごめかごめ
短編 2021/12/06 15:13 3,843view
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 受話器の向こう側では、かごめの歌を小さな女の子がか細い声で歌っていました。
 私が何を聞いても女の子は歌い続けます。それは悲しく暗い歌声でした。

 女の子が歌い終えると電話は切れました。
 その瞬間、背後の仏間でズリリと何かを引きずる音がしたのです。

 うしろの正面だあれ? 女の子の歌っていた最後のフレーズを思い出した私は、急に怖くなり、慌てて背後を確認しました。

 そこにはもちろん誰もいません。物言わぬ祖母が寝ているだけです。

 私は仏間に戻り、祖母の様子を確認しました。途端に悲鳴を上げ、腰が抜けてへたり込んでしまいました。

 布団に寝ている祖母。その顔には白い布が掛けられています。
 その布の両目と口の部分に、赤い血が滲んでいたのです。

 私は上を見ましたが、そのような液体はありません。明らかに祖母の内側から溢れ出ているのです。

 不意に天井付近で物音がしました。見上げると、壁に掛けられた先祖の遺影の一つが、カタカタと揺れています。
 それは、顔も見たことのない祖父のものでした。

 遺影の揺れ方はどんどん大きくなります。それはまるで、ここから逃げ出そうとしているようでした。

 上を見上げていた私の眼下で何かが動きました。私は視線を落とし、絶叫しました。

 祖母が上半身を起こしていたのです。
 その顔には白い布が付いたままでした。おそらく血で張り付いているのでしょう。

 私は視線を祖母から離せなくなりましたが、何とか後退りし廊下との境目まで移動しました。

 すると、玄関の引き戸がバアンと開け放たれ、何者かが腰の抜けた私のもとへと駆け寄ってきたのです。
 背後に立ったその人を、私は見上げました。

 そこには影が立っていました。目も鼻も口も見えない、全身真っ黒の影です。

 その影は腰を落とし、私に言いました。

「夜はこれからだよぉ」

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コメント(1)
  • こわ

    2024/01/15/11:24

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