迎えに来るエレベーターの怪異
投稿者:美樹本 (5)
知人が以前、地元で新聞配達のアルバイトをしていた時の話を聞いたものです。
あるマンションが配達の担当に加わり、その部屋は最上階でした。行きは一階に居たエレベーターにそのまま乗って配達したそうですが、エレベーターは最上階へ着いて知人が降りるなり、すぐに一階へ降りてしまったそうです。深夜ですが人と出くわすこともあるので、あまり気にしなかったそうです。
しかし新聞を入れてエレベーターへ向かうと、エレベーターの動く音がしました。そしてエレベーターの前に着くと、ランプは上へ上がってきていました。そして。最上階へ来ました。誰も呼んでいないのに。
怖くなった知人はそのまま階段で一階まで降り、以後、二度とそのマンションのエレベーターは使わないようにしたそうです。それにも関わらず、そのマンションへ配達に来ると、エレベーターは上階から一階へ降りてきたり、最上階まで上がってきたりするそうです。まるで自分迎えに来るかのように。
それでも我慢して階段で仕事をしていると、ある日そのマンションの担当がなくなりました。購読を止めたようです。安堵してその後もしばらくは仕事を続けていたのですが、やはりそのマンションの前はとても通れなかったそうです。
辞めて少しした頃にたまたまその当時の新聞配達所の前を通り、かつての同僚や先輩と少し話したそうです。そしてあのマンションがまた配達区域に入っていて、いまは同僚が担当していることを知りました。エレベーターのことをさりげなく聞いても、特に何もないと言われたそうです。
自分にだけ起きていたこと。あれはなんだったのか、地元を離れたいまも時々思い出すそうです。そして、乗っていたらどうなったのか、とも。
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