祖父が死んだ日、祖父から逃げた
投稿者:美樹本 (5)
短編
2022/02/14
18:14
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小学二年生の頃、祖父が亡くなりました。冬の寒い朝、祖父は家の前で倒れていました。死因は心筋梗塞だったそうです。
私は初めて葬式に参加しました。祖父の親戚を初めて見ました。瓶のオレンジジュースを初めて飲みました。夜遅くまで起きて、死んだ祖父の顔を眺めました。
私は祖父と極力関わらないよう強く祖母に言われていたので、葬式の間ずっと変な気持ちでした。
もっと祖父と話せばよかったな、と少し後悔しました。
49日の日、私は高熱を出して祖父母の家にひとりで残されました。
家族みんなが心配そうに見守る中、私はずっと正座することが苦手だったので、ちょっとラッキーだなと思っていました。それが罰当たりだったのかも知れません。
夢の中で花畑を見ました。そこに祖父が立っていました。私は近寄り、会話を試みました。けれど、何を言っているのか分かりません。
祖父の声がどんどん強くなり、身振り手振りが激しくなりました。
私はなんだか怖くなって、祖父から逃げました。
そこで夢から起きた時、私は家族に囲まれてました。
熱性痙攣を起こし、ずっと意識がなかったそうです。
祖父は私を生かしてくれたのか、それとも、”こちらにおいで”と誘っていたのか、私には分かりません。
それでも、祖父の形見の鋏は、新品のまま今もなんでも切ることが出来る、私にとって大切なものです。
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唐突に鋏が出てきて意味がわかりません