私が小学生だった頃の体験談です。
私と、7つ年上の姉の二人で留守番をしていた日のことです。
当時住んでいた家は2階建てで、私の部屋は階段を上がってすぐ、その隣が姉の部屋でした。
その日は友達と遊ぶ予定もなく暇を持て余していたので、いつものように姉と話しながら過ごしていました。
年が離れていて普段から可愛がられているのもあり、よく姉の部屋で遊んでもらっていたのです。
しかしそのうち、姉が学校の宿題を始めてしまいました。
自分の宿題はもう終わらせてしまっていたので、ベランダから暗くなっていく夕空を、
大人しくぼうっと眺めていました。
すると、
ガチャ。
玄関のドアを開ける音がしました。
パタ、パタ。
ト、ト、ト、ト。
続いて靴を脱いで揃える音、リビングに向かう足音。
「兄ちゃん帰ってきたんかな。見てくる。」
私には姉ともうひとり、4つ年上の兄がいます。
その兄が、通っている野球クラブから帰ってきたのかと思ったのです。
体力と暇を持て余していた私は、兄とゲームで遊んでもらおうと思いました。
階段が少し急な家で、駆け下りるのが怖かった私は、一段ずつゆっくりと2階から1階へ降りようとしました。
しかしそこで、1階の明かりが点いていないことに気が付きます。
おかしいな、確かに足音がしたんだけどな、と少し違和感を覚えながらも、
誰が帰ってきたのか確認したくてそのままリビングに向かいました。
「おかえりー。兄ちゃーん?」
声を掛けてみても返事はありません。
仕方なく、リビングのドアを開けました。
ガチャ。
玄関や廊下と同じく、リビングの明かりも点いていません。
日も沈んでいて光があまり入らない立地だったので部屋中が真っ暗になるのは当然なのですが、
その暗闇の中にはっきりと、人影のようなモノが佇んでいました。
『それ』は部屋の暗がりよりもずっとずっと暗く、吸い込まれそうなほどに真っ黒でした。

























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