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不思議体験

吉良さんによる不思議体験にまつわる怖い話の投稿です

たくさんのアゲハチョウ
短編 2020/12/25 20:49 1,386view

これは私が小学生の時の話です。
夏の終わり、学校の授業で近くの公民館に行きました。
公民館の横の、林いうのか少しだけ盛り上がって小山になっている場所があり、そこで各自写生をすることになっておりました。

山を越えた先にある小川や駐車場、花壇など、それぞれ自分の場所を探して散策します。
私はというと、イマイチいい場所が見つからず、なかなか決めきれずに山を散策していました。
何度か小川の方へ行っては帰ってを繰り返したあと、山の中に咲いている小さな花にでもしようと思い立ち、駐車場方向に向かいました。

ところが、少し違う方向に降りてしまったのか、着いたところは駐車場ではなく道路でした。
山の端は1メートルくらいの崖になっていて、その下は一車線の道路になっていたのです。
おかしいなと思い、小川を目指して再度山を登りはじめました。

ところが、何だか様子がおかしいのです。地面は赤茶色の土で、今まで歩いていた土の感じと全く違うように見えます。地面も心なしかでこぼこしており、木の根っこがあちこちから盛り上がって見えていました。

おかしいなと思いながらも、とにかく山の頂上に行けばすぐ小川が見えるはずです。小川から駐車場までは3分もあれば着けるほどの距離のはずなのです。
しかし、でこぼこした地面を登ってみても、一向に見知った景色に戻れません。クラスメイトの声は微かに聞こえているので、そう遠くないはずです。

すると急に視界の左側にある木が目につきました。
気になってよく見ると、太い幹の根本にたくさんのアゲハチョウが群がっていたのです。

これはすごい!よく見てみよう、と近づいてみると、アゲハチョウに混じってスズメバチが10匹近くいるのが目に入りました。

これ以上近づいては危ないので、すぐに距離をとって小川に向かいました。近くにクラスメイトの声も聞こえています。皆が気付かず近づいて、スズメバチに襲われたら大変なので、急いで山を登りきるといつの間にか見知った景色に戻ってきていました。小川にいるクラスメイトに声をかけ、たくさんアゲハチョウとスズメバチがいたことを話しました。しかし誰もそれを信じてはくれません。

この山には太い幹と根本の盛り上がった場所は無いというのです。
結局真実はわからないまま、公民館は大雨で道が通れなくなり、使われなくなりました。

地元に帰ると必ずその話をするのですが、未だにそれがどこだったのかわからずにいます。

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関連タグ: #声#夏#学校#山#川#雨
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