触ってもすり抜ける女
投稿者:アソビ (2)
10年以上前に体験し、現在もその場所に行くと訝しい雰囲気に囚われる…時を超えた心霊体験。
これは私が小学校低学年の時に体験した話です。毎日通る通学路には小川が流れ小さなえんじ色の橋が架かった道がありました。
通学には近所の子供たちと団体で帰る決まりがあり橋手前までは一緒なのですが、その橋を越えた家は私しか居なかったのです。そして、橋以外の道は線路が通り踏切があるので危ないと判断され、通ることが出来なかったためいつもその橋を渡っていました。
帰り時刻は夕方15時頃。友達と別れしばらく歩き、橋に差し掛かると毎回白い服を着た女の人が手を体の横に差し出し、ハイタッチするかのように手のひらをこちらに向けて立っているのです。
当時の私は近所の優しいお姉さんが毎日学校帰り橋でハイタッチするために待っていてくれるんだ!と思っていました。
そして、毎回必ず私も左手を大きく差し出し、お姉さんとハイタッチして帰っていたのです。
しかし、どれだけ凝視して注意深く手を狙っても当たった気が全くしません。
次の日も、その次も手を大きく横に出し飛行機のようなポーズで通り過ぎても、そのお姉さんに当たった感触がありません。
そして毎回、振り返るとそのお姉さんはいなくなっているのです。
あの日もまだまだ明るい帰路一人で橋に差し掛かりお姉さんを見かけました。
私は今度こそしっかりお姉さんに逃げられないように、抱き着いて捕まえてやろうといった覚悟でお姉さんの方へ小走りで手を広げながら向かいました。
すると、確かにお姉さんの胴体を分断し横切ってすり抜ける自分の左腕を見ました。
まるで雲を腕で分けたかのように、うっすらと白いモヤを引きながらひんやりとしている自分の左腕を今でもはっきり覚えています。
そしてすり抜けた!と自覚したときにはお姉さんは案の定居なくなっていました。
小学生の当時親に話してもうまく伝わらず、友達に話してもむしろまた別の心霊体験自慢を聞かされるだけで自分の中で結局何が起こったか分からぬまま私は別の学校へ転校になりました。今でも何が原因だったか分かりません。
数年後1度訪れる機会があり学校近辺を様子見していました。町全体も、その橋も古くさびれ人の管理が行き届いていない様子でしたが、橋の渡り切った部分の左側の塗装だけ当時のような鮮やかなえんじ色が残っていました。その場所を調べてみると空き家が多く今ではだれも住んでいない場所になっていました。当時の自分はとてもヒヤッとする体験をしたんだと思いました。
※コメントは承認制のため反映まで時間がかかる場合があります。