おばあちゃんからの知らせ
投稿者:天也 (1)
長らく入院していたおばあちゃんが転院すると聞いたのはもう何ヶ月も前だった。
元の病院に居た頃は一人暮らしをしていた私の家からとても近かった為、毎週おばあちゃんの顔を見に病院へ行っていた。
しかし、転院先の病院は家から遠く、また交通の便もあまり良くない所にあった為、行こう行こうと思いながらもついずるずると数ヶ月が経ってしまっていた。
それに私が行けばおばあちゃんは喜ぶが、まだ社会人になりたての私には、おばあちゃんの事以外にも興味をそそるものが沢山あった。
そんなわけで、ついついおばあちゃんのお見舞いに行けない日々が続いてしまっていた。
ある日、何の前触れもなく、私はおばあちゃんの夢を見た。ベッドで寝ているおばあちゃんが「いつ会いに来てくれるの? 」と寂しそうに聞く夢。実家を出てからは随分と会えない期間もあったが、今までは一度もおばあちゃんの夢を見たことがなかった。
それなのにその日に限って夢に出てきたおばあちゃん。何だか不思議な感じがした。
目が覚めてから「早めにお見舞いにも行ってあげなくちゃなぁ」と思いながら仕事に行く支度をしていると、母から電話が鳴った。
「おばあちゃんの容態が悪化しているって病院から電話があった。すぐさま命がどうと言うことはわからないけど、一応知らせておくね」と。
私は何だかその時、どうしても今行かなくてはいけないような気がして、仕事を休んでおばあちゃんの転院先へ初めて行くことにしたのだ。
それが、その病院に行く最初で最後となった。
私が着いてからしばらくして、おばあちゃんは息を引き取った。母が電話をくれた時、危篤でもなかったおばあちゃんがその後大きく容態が変化したのだ。夢を見ていなかったら私はきっとそのまま仕事に行っていただろう。
私には霊感も何もないが、あの時に見た夢は、確実におばあちゃんが私を呼んだのだろうと信じている。
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