父との夏の思い出(怖い意味で)
投稿者:シャボン玉 (1)
私は父親と仲が良く、2人でよく映画を家で見ることが多いです。
夏休みのある日、私は夕食後すぐに眠ってしまい、夜中12時ぐらいに目が覚めました。
すると父親がちょうどお風呂から上がってきたところで、お酒を片手に涼んでいたところでした。
私は、長く眠っていたのでそこから寝る気になれず、父親と映画を見ようということになりました。
何の映画を見ていたか覚えてはいないのですが、2人で和気あいあいとお話をしながら見ていました。
すると、2時を回ったころに父親が急に「科学実験をしよう」と言い始めました。
何を言ってるんだろうかと思っていましたが、映画を見始める前から持っていた長い風船で何かをするのだろうと思いながら、私は画面から目を離さず「いいよ何するの?」と聞くと、「腕の中がどんなことになっているのか」と言い始めました。
そこでわたしは、「何言ってるの?」と父親の目を見ると明らかに目がおかしい感じになっていて、なんとなく直感で(やばい)と思いました。
母親がよく父親と2人暮らしをしていた時の話をしてくれるのですが、どうやら父親は憑りつかれることが多いそうです。
その話を聞いていたからかわかりませんが、ビビりながらも冷静に私は「何で切るの?」と聞きました。すると父親は、「包丁」と言いキッチンから普通の包丁を持ってきました。
隣に座り私にそれを渡してきて、「ひかないと切れないからね」と言いつつ腕に押し当てさせられました。私は、ものすごく汗をかいてたのは覚えています。泣いていたかは覚えてませんが、思考は冷静で「こんなのだったら切れないから、中華包丁を研いで持ってきて」と父親に伝えると、それを持ちキッチンに向かいました。
中華包丁が、棚の高い奥にあることを知っていたので、咄嗟に出たのだと思います。
すぐに逃げればよかったのですが、私がいなくなったことに気づいて自分で何かをし始めても嫌だったので、研ぎ始めるのを待っていました。
電動の砥石の音が聞こえ始めた瞬間静かに2階に寝ている母親をたたき起こし涙ぐちゃぐちゃながら「お父さんがやばいから、はやく下に行ってはやく!」というと母親はただ事じゃないと私に「何とかするしここで寝てて」と言われベットで横になっていましたが、1階でドンドンと物音が聞こえていて眠ることがなかなかできませんでした。
私に危害を加えなかったので、きっと母親も大丈夫だろうと考えているうちにどうやら眠りについていました。
朝起きると、両親は1階で寄り添って寝ていました。
2人ともけがをすることなく私は安心しました。
母親に話を聞くと、父親は何も覚えていないということでした。
それ以来、飲酒をしている父親と夜中の映画鑑賞はしていません。
今になっては笑い話でしたが、当時はめちゃくちゃ怖かったです。
風船は?
憑かれるってことは。疲れてるんだろね?