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不思議体験

でぃすいずさんによる不思議体験にまつわる怖い話の投稿です

幽霊
短編 2026/08/11 13:21 69view

女が苦しそうに首元を抑え、奇声を発する。

窓から姿が消え、屯所の中からドタドタと走り回る音が聞こえる。

突然、入り口のガラス戸が開き、女が飛び出して来る。

裸足で奇声を上げ、走り去る女。

その姿に全員が悲鳴を上げ泣き叫ぶ。

「大丈夫。もう大丈夫だから帰りなさい」

住職の言葉に頷き、それぞれが家に帰る。

「ただいま」

家に帰ると両親と祖母と幼い弟が朝食を食べている。

「今日ね「幽霊」が出たんだよ」

両親の顔色が変わる。

父親の同級生だったという「幽霊」。

お祭りで◯◯舞の着物を着た姿を見た誰かが「幽霊」というあだ名を付けた。

そう呼ばれるうち自らを「幽霊」だと思い込み、おかしくなっていったと聞いたことがある。

生身の人間に住職の念仏は何も効果はない。

その姿を子供の頃から何度も目にしてきた。

あれから30年。

久しぶりに帰省した際に見掛けた「幽霊」の姿。

真っ黒だった髪の毛は真っ白になり、デイサービスの車に乗り込む「幽霊」。

すでに車の中にいる老人たちと笑顔を交わし、穏やかな表情を浮かべている。

胸の痛みと安堵。

私は一生忘れることの出来ない傷を抱えて生きている。

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