極めつけは、20歳の時の写真でした。
拓也が夜遅く、一人でアパートの自室でテレビを見ている姿が、
窓の外の暗闇から写されていました。
当時、母は実家に住んでおり、拓也はその時、東京で一人暮らしをしていました。
その写真の裏には、こうありました。
「20歳。少し痩せたかしら。ちゃんとご飯を食べてね」
拓也の手がガタガタと震え始めました。
母は、僕をずっと監視していたのでしょうか。
あの優しかった母の、別の顔を見てしまったような恐怖が襲いました。
恐怖に耐えかねて、アルバムの最後のページをめくりました。
そこには、母が亡くなる数日前、病室で撮られた拓也の写真がありました。
眠る母のベッドの横で、疲れ果てて椅子でうたた寝をしている拓也の姿です。
その最後の写真の裏には、掠れた文字でこう書かれていました。
「拓也、ずっとそばで見守らせてくれてありがとう。
お母さんは病気で動けなくなってからも、あなたをずっと見ていられて幸せでした。
写真の男の人には、きちんとお給料を払ってあるから安心しなさいね。
これからも、その人があなたをずっと写し続けてくれますよ」
拓也がふと視線を感じて振り返ると、誰もいないはずの閉め切った部屋の窓ガラスに、
カメラのフラッシュが一瞬、白く反射しました。
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