いわゆる、借金の取り立て人・・・なんて言ったら罰が当たるかもな。
与えた恩恵の見返りを要求してくるのさ。
そいつらは、普段は目に見えない。だが、水たまりの反射、
水面の中でのみ、輪郭を表して、じっとこっちを見つめてくる。
監視をしているようにな。
いま、おつたいさまは信仰を求めてる。この話を聞いて、
自分を恐れ、敬い、さらに信仰を広めることを望んでいる。」
「お前、さっき俺から金を受け取ったよな、それだよ。
それがご利益。俺も神の御使いだからな。」
そういって、再び、コーヒーに口を付けた。
「だから、解る。おつたい様の水は、もう澄んでなんていない。
このコーヒーみたいに、水と殺された獣の怨念がまじりあっている。
もう、契約は完了だよ。
安心しろ、もうこれからお前は、金に困ることなんて無くなる。
何せ俺の弟だ。一族の恩恵はほかの奴らよりもはるかに強くなる。
これが冗談のように聞こえるか?お前には分かるはずだ。
もう十分に、伝わったはずだ。」
兄貴が見たことのないような無機質な目を俺に向けていた。
まるで水底に沈んでいる死体の、光を反射しない瞳のようだった
兄貴の唇が、ゆっくりと語りかける。
おつたい様を、よろしくお願いします
あの時の老婦人の言葉だった。
ガラスのコップの結露を透かして、歪な影が横切ったような気がした。
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真に迫った語り口だった。緊張で喉が渇き、
僕は思わず目の前のすっかりぬるくなったコーヒーを飲んだ。飲んでしまった。
いや、金を受け取った時に既にコーヒーに口は付けていた、どちらにせよ手遅れだ。





















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