私「…あの…七海ちゃんは…?」
なんとなく分かっていたが、信じたく無い自分が居た。
七海の母「…亡くなったの…一緒に居たお友達も…」
目からぼろぼろと涙が伝った。私の唯一の親友が、もうこの世に居ないなんて。私が他のクラスメイトに悪口を言われた時優しく庇ってくれた七海がもう居ないなんて…。
ずっと私は七海に救われて来たから、これからはもっともっと私が七海を救ってあげたかった。
七海の母「…来てくれてありがとう。七海はきっと喜んでると思うわ。七海が最後にあなたへ手紙を書いていたわ。あなたに渡すわね。」
そう言って七海のお母さんは一つの手紙を渡してくれた後、去っていった。
手紙は、一度水で濡れた様で少し凸凹していた。手紙には、こう書かれていた。
「春香(私の名前)へ
ありがとう。救われたのは私だよ。 七海」
手紙を読んで、私は声を上げて泣いた。私はその日近くのホテルに泊まる事にし、泣いた所為もあってこの日は早く寝た。
…寝てから数時間が経って起きてしまった。何故か七海の家に行かなきゃいけない気がする。気づくと私は裸足でホテルを抜け出していた。全力で走って足から血が出た。そして七海の家に着いた時、何故か玄関が半開きだった。私はバリケードテープを跨いで、玄関を開けた。家の中はまるで水で満ちていて、墨が垂れた様に暗く黒かった。
そして、私は家の中に目を凝らした時だった。廊下の奥の暗がりに、何かが動いて、階段を登っていくのが見えた。
七海だ。私はその墨水の様に暗く、澱んだ家の中へ入っていった。入ったその瞬間、「ごぽごぽっ…」という水の音と波の様な音が聞こえた。暗く長い廊下に目を凝らしながら進んで行く。するとさっき七海の居た階段が見えてきた。階段の先は、七海と友人A・B・Cが亡くなった部屋だ。私は一歩ずつ部屋への距離を縮めていった。湿った階段がミシリミシリと音を立てた。そしてその部屋のドアノブに手を掛け、ギィッと扉を開けた。部屋から海の匂いがする。そしてそこには、青白く生気の無い亡人が浮遊していた。七海の言っていた怖い話が好きな理由の言葉が頭の中で木魂する。
私「…七海…?」
私は七海に向かって手を伸ばす。その時、部屋の中でパチパチというラップ音が聞こえ、ちゃぶ台の上のコップが落ち、物がガタガタと動く。すると青白い霧の様な七海は、私にゆっくりと近づき私の手を握った。握られても、冷たい冷気が触れた様な感覚しか無い。そして私の目から冷たい水が顔を伝って落ちる。
七海「…大丈夫…。ずっと見守っているから…。ウミサマ…。」
そしてその青白い霧の様な人影は消えていき、墨水の様に暗い澱んだ部屋に一人立ちすくんでいた。ウミサマって誰だろう…?
翌朝、私は七海の家の玄関前で綺麗な水色の石を握って倒れているのを近所の人が見つけ、病院に運ばれた。その石は、私が小さい頃七海にプレゼントした物だった。
…それから一年後、私は七海の家の前で手を合わせている。お花と、生前七海が好きだったお菓子を置いて。そして、あの七海の亡くなった二階の部屋の窓から七海と友人A・B・Cが微笑んでいるのが見えた気がした。
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数年後…
芸能人「やって来ました!◯◯県T邸〜!!」
某テレビ番組で芸能人が怪奇現象の起こる事故物件が紹介されている。私は色々あって七海の家の管理者になった。
芸能人「えー今日は、この物件の管理者の春香さんに来て頂いています!春香さん!この物件で怪奇現象が起こるというのは本当なんでしょうか!?」
私(春香)「えっと、此処は元々私の友達の住んでいる家で、私の友達はこの家の二階の部屋で友人A・B・Cと亡くなりました。それで色々あって今は私が所有しています。」
芸能人「ほう!つまりこの家では計四人亡くなったということでしょうか?」
私(春香)「はい…」
芸能人「この家で遭遇した怪奇現象とかってありますか?」
私(春香)「最初、テレビで友達の家が写って私の友達が亡くなったという報道が流れ、急いでこの家に来た時の事です。まだブルーシートやバリケードテープなんかが貼られていて入れなかったんですけど、その日の夜中目が覚めて、この家に行かなきゃって急に思って、ホテルから裸足で走って来たんです。」























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