可愛い坊やが鳥を殺してしまったと泣いていました。深夜、暑さで目を覚ました坊やは、私の気づかないうちに外へ出て遊んでいたと言います。そこで事によって私を起こしに来たのです。外套を取って外に出てみると、細々と光っている街灯の足元に小さく蹲っているものが見えます。燕の子でした。黒く滲んでいる塊の中から未だ白く尖っているものが乱杭しており、蛋白で固まった羽根があちこちに飛び出ております。我が子はきっと踏み潰してしまったのだと思います。だから、今夜は伝えておくことにしました。君が殺してしまったと思っている小鳥は、既に死んでいたのですよ、私たちには想像もつかないような事情を抱えていつも鳴いている小鳥ですから、あなたの足元にいる時に、そのようにしなかったのはやはり事情があるのです。キュイと鳴いたのは、小鳥の体が、あなたのゴムの靴底と擦れる音に相違ないのですから、これは悔やんでも仕方のないことですよ、と。
やはり坊やには仕方のないことだと繰り返し聞かせてやって、しばらくして泣き疲れるのを待ちました。明くる朝には、坊やは怖い夢を見たと言って、でも仕方のないことだねとも言って調子を取り戻した様子でいました。
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