これのことか!と思い暗闇の中Aの方を見るが、布団の中で眠っているようで動かない。
今音を立てるのは危険と感じ、1人でじっと息を潜め聞き耳をたてるが、確かにそれ以降足音が聞こえない。
しばらく経てば何か聞こえるか?と思い待機していたが、気づけばまた寝てしまっていた。
翌朝、Aをおこし
「昨日寝てたろ!確かに聞こえたよ、足音」
と話すと、Aは「だろ!?家の前で止まってたろ?怖いよな!」と喜んでいた。
何を喜んでるんだ、こいつは
と思ったが、聞こえるのが自分だけじゃなかったことに安堵していたようだ。
その日、本来は帰るつもりであったが、足音の正体をどうしても確かめたくなった私は、もう一泊させてほしいとお願いした。
Aは快諾してくれ、その日も家で遊ばせてもらった。
しかし、もう昨日までの私ではない。
その日は飲酒はせず、間違っても寝ないように体力も温存した。
さらに抜かりなく、
Aには部屋にいてもらい、私は外で車から家の前を観察する と言う作戦を取ることにした。
音は立てなくないため、通話はせずLINEでメッセージをやり取りしつつ、音が聞こえたタイミングでAからは連絡を入れてもらう約束をし、私からは何か人などが見えたタイミングでメッセージを入れることにした。
車で待つのは退屈だし正直かなり怖かったが、前日に足音を聞いてしまったからには追求せずにはいられなかった。
深夜24時ごろまでは異変はなく、人も1人も通らなかった。
異変があったのは深夜1時10分ごろ
起きていることを確認するためメッセージを絶えずやり取りしていたのだが、1時ごろからAからの返事がなくなった。
既読もつかず、「また寝たんかあいつは」と思っていたころであった。
Aの部屋のドアが、開いた。
え?どうした?問題でも起こったか?
と思い、車から出ようと思ったが、何かおかしい。
Aは、車を一瞥もせず、アパートの外へ歩いて行った。
車の位置は伝えてあったし、何か私に伝えたいことがあるなら車の方に来るはずだが、アパートの外へ向かい歩いて行ったのだ。
買い物でもしたくなったか?この時間に?いやでもそれならメッセージの一つくらいくれてもいいだろう。
困惑しつつ呆然と眺めていると、一番端っこの部屋の前あたりで、Aが踵を返した。
そして、ゆっくりと歩き、Aの部屋の前まであるくA。
自分の部屋の前まで行き、ドアの方に体をむけ、微動だにしなくなった。
車を出て話に行こうと思ったが、様子がおかしいAに私は恐怖してしまい出ていけなかった。























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