ポストの中全体を覆うように貼られていると言いますか、葉っぱが沢山埋まっているポストの中にハガキを入れ込んでいたから、ハガキが勢いよく飛び出してきたんだろうと思えるぐらいに無数の葉っぱでした。
団地の五階から見ていた姿、
全身真っ黒のレインコートのような服を着て、道端で木から葉っぱを千切ってはポケットに入れる。
そんな習慣があった彼の事を思い出して一気に怖くなりました。
だけどもう引っ越し。
大丈夫なわけです。
引っ越した先は団地よりは綺麗で、遂に川の字ではなく、父親と二人部屋ではありますが、自分の部屋もできました。2階なのですが、念のため階段の数を数えたりもして。
「13階段じゃないから大丈夫」
聞き齧った知識で安心したりして。
だけど引っ越してからも定期的に団地に帰りたい衝動がありました。
何となく、帰りたい。
母親の買い物に着いて行くのが日課だったのですが、
「ルートを変えて団地に寄ってもいい?」とよく聞いていました。
霊感によるものだと思われていたので、母には「絶対行かんでいい。関わるな」とキツく止められていました。
夢を見たんです。団地に帰る夢。
鍵はかかっていなくて、部屋に入ります。だけど、引っ越しているので部屋の中は空っぽです。何もない。
「なにしてんだろう」
夢の中、部屋でそう思った私は家を出る為に玄関扉を開けるのですが、玄関。
玄関扉を開けるのですが、玄関。
ずっと玄関扉があるんです。
夢の中、焦りながら玄関を開け続けていると後ろから顔を覆うように両手がすーっと伸びてきて、私の顔をバッと押さえ込む。
その際に汗だくの私は飛び起きて、とんでもない悪夢を見た事が忘れられなくて、団地を見てみたかったんです。
56棟、5階の団地のベランダを、玄関を。
しばらく経って、引っ越し先におばあちゃんを家に招きました。
もう大丈夫だからと。
ですが、ダメだったようで、
「あかんわ。階段に座ってはる」
























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