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心霊

Ak cocoさんによる心霊にまつわる怖い話の投稿です

先輩の親友
短編 2025/05/16 09:15 1,652view
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私は久しぶりに先輩とご飯を食べに行きました。
色々な話をしていたとき、ふと先輩が言いました。
「昔、修学旅行で……変なことがあったんだ」
オカルト好きの私は興味を持ち、続きを聞かせてもらうことにしました。
その修学旅行は、山の古びた旅館だったそうです。
夜、同じ部屋になったBさん、Cさん、Dさんと「せっかくだからオールしよう」と言い合い、夜遅くまでくだらない話で盛り上がっていたといいます。
真っ暗の中、Cさんが「トイレ行ってくる」と言い出しました。
「怖いから一人じゃイヤだ」
そう言って、Dさんがついていきました。
しばらくしても、二人は帰ってきませんでした。
10分、20分と、さすがにおかしいと感じ始めた頃、ひとりでCさんが戻ってきました。
「あれ? Dは?」
先輩がそう尋ねると、Cさんは不思議そうな顔をして、
「えっ…Dって、戻ってきてないの……?」と呟きました。
その瞬間、Cさんの顔色が変わり、部屋を飛び出して行きました。
すぐにBさんが後を追い、先輩も慌てて後に続いたそうです。
トイレの前にたどり着くと、そこに――Dさんが立っていました。
「なにしてたんだよ」

「いやー、驚かそうと思ってさ」


「びっくりしたわー」

と、皆がホッとしたその時。
先輩は違和感に気づいたと言います。
―Dさんが笑っていなかった

―Dさんの足音だけがしていなかった。

―Dさんが裸足だった。
それに気づいた瞬間、先輩は走り出しました。
後ろから、BさんとCさんも「なにかが違う」と感じたのか、無言で走ってきました。
背後から、くぐもったような声が響きます。

「おーい……どこ行くんだよ……待ってよ……」

「俺たち”親友”だろ?」
部屋に戻り、布団をかぶって息を潜めると、先輩はそのまま意識を失ったそうです。

翌朝、Dさんの姿はありませんでした。
そして数日後旅館周辺の山中で、何体もの遺体が見つかりました。
Dさんもその中にいたそうです。
遺体は、死後数日は経っていたと言われています。
今ではその宿は廃墟となり、地元では心霊スポットとして有名だそうです。
ご飯を終えた帰り道、先輩がぽつりと呟きました。

「Dはさ、親友だったんだ。もういなくなっちまったけどな。」

私は、笑って答えました。
「大丈夫、ずっとあなたのそばにいますよ」と。
だって、ほら、先輩の後ろにいるじゃないですか。

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コメント(1)
  • 怖い

    2025/05/16/12:29

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