トイレの住人
投稿者:燐 (2)
短編
2021/03/22
22:55
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ドンドンドンドン!!!!!
「げすなあ!げすなあ!!!!」
中から扉を叩き、うめき声が悲鳴のように聞こえてきた。
「うわああああああー!!!」
私は靴も履かずに、玄関を飛び出し、近くの公園まで走り逃げ出していた。
しばらくして落ち着くと、ポケットに入っていた携帯で、大学の友人の貴士に電話をかけ、事情を話し、迎えに来てもらった。貴士が公園につくと、裸足で公園のベンチに座ってる私の姿を見て
「寝ぼけてただけだろー」と笑っていた。
そして貴士と一緒に私の家に戻る。
部屋は真っ暗で、相変わらずテレビの明かりだけがチカチカと光っていた。
トイレの電気も消えたままだった。
「なんだよ、何もねえじゃん」
「違うんだよ、トイレに。トイレにいるんだって!」
私は貴士と一緒にトイレの前に立った。
そして貴士が静かにドアを開けた。
「なんだよ、誰もいねえぞ」
そして電気を点けた。
「なんだよこれ………」
トイレの床、壁一面に黒い泥のようなものが広がり、床は水でびしょびしょに濡れていた。
そして海水の腐ったような臭いが充満していた。
あの一件以来、私はその部屋を引き払い、すぐに引っ越した。
あれがなんだったのか、今となっては知るよしもない。
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