白いテディベア
投稿者:倉田夏美 (1)
一体私の周りで何が起きているのか。
考えてもわかりませんが、不安になった時はいつもあの白いテディベアを抱きしめました。
テディベアを抱きしめると、不安な心がスッと軽くなるのです。
私にとって、いつの間にか無くてはならない存在になっていました。
ある晩のことです。
私はその日高熱を出し、学校を休んで朝から寝込んでいました。
夜中に目が覚め、喉が渇いたのでキッチンに行こうとベッドから起き上がったところで、出窓にいるはずのテディベアがいないことに気づきました。
寝ぼけて別の所に置いちゃったかな?と思いましたが、私の部屋の中にはありません。
とりあえず先に水を飲もうと、階段を降りてキッチンに向かいました。
思わず、腰を抜かしそうになりました。
テディベアがキッチンにいたのです。
いや、正確にはテディベアだけではありませんでした。
手足がガリガリの、痩せ細った裸の女の子がテディベアの隣にいました。
その女の子はテディベアを抱き上げると、私を睨みました。
『これは私のものだ』と言われているような気がしました。
私はその場にしゃがみ込み
「はい、そのテディベアはあなたのものです。あなたに返します。だからもう、帰ってください」
と心の中で唱えました。
すると女の子は私を睨んだまま、すっと姿を消しました。
その後どうやって部屋に戻ったのか記憶が曖昧なので、私はこの出来事を夢だと思っていました。
しかしその後いくら探してもあのテディベアは見つからず、またこれをきっかけに今まで起こっていた不思議な出来事もパタっと止みました。
私の体験は以上で終わりです。
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