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不思議体験

倉田夏美さんによる不思議体験にまつわる怖い話の投稿です

白いテディベア
短編 2025/01/25 09:18 447view
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中学生の頃、近所の広場でフリーマーケットをやっていたので見に行きました。
特に欲しいものがあるわけでもなく、ただなんとなく並べられた品物を見ながら歩いていたのですが、その中にひとつ、とても気になる商品がありました。

緑のチェックのリボンをつけた、真っ白なテディベア。
大きさは30センチくらいでしょうか。
真っ白な毛に緑のリボンが映えて、とても可愛く見えました。
更にそのテディベアは、右目が赤、左目が緑のオッドアイでした。
カラーリング的にクリスマス限定商品だったのかもしれませんが、私はこのオッドアイに猛烈に惹かれてしまいました。

欲しい。けど今はお金がない。家に帰ればお小遣いがあるけど足りるかな……と悩んでいると、店主のおじいさんがニコニコしながら近づいてきました。
「それが気に入りましたか?よろしければタダで差し上げますよ」
「えっ、タダですか?いやでも、それは……」

さすがに気が引けたので断ろうとしましたが
「いいんですよ。元々ゴミに出そうと思っていたのです。気に入ってくださったなら、どうかこの老いぼれを助けると思って貰ってやってくださいな」
そう言われては断れず、私はそのテディベアをいただくことになりました。

家に帰って早速、部屋の出窓に飾りました。
やはりちょっとクリスマス感が強いですがとても可愛いです。
特に左右で異なる色の目がキラキラして、まるで宝石のように輝いているのが気に入りました。
(明日もフリーマーケットやってるよね。明日ちゃんとお金持ってあのおじいさんのところに行こう……)
私は明日、改めておじいさんにお礼を言おうと決めました。

しかし翌日、いくら探してもおじいさんが見当たりません。昨日出店していた場所には別の人がいました。
しまった、昨日だけ出店の人だったのか……

がっかりしましたが、私はそのおじいさんがどこから来ているのかも名前も知りません。
諦めて帰ることにしました。

その日から、家の中で妙なことが起こるようになりました。
例えば、買ったばかりの牛乳が空になっている。トイレットペーパーの減りが異様に早い。玄関に置いてあった消臭剤が外に出されている……等々、家の中のものが微妙に動かされていたり無くなっていたり、誰かが使ったような痕跡があるのです。
しかし家族の誰も心当たりがなく、皆不思議そうな顔をするばかりでした。

そのうちに、今度は私の部屋で妙なことが起こるようになりました。
棚の本が床に落ちていたり、閉めたはずのカーテンが開いていたり、勝手にエアコンがついていたり。
更に、私の部屋の隣は姉の部屋なのですが、姉から
「最近あんたの部屋すごいうるさいんだけど何?足音みたいなのがバタバタ聞こえるんだけど」
と言われるようになりました。
しかし私は姉にうるさいと言われるような音を出している覚えはありません。
なんなら、姉が「うるさかった」と言っていた時間帯は外出したりしていました。

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