奇々怪々 お知らせ

都市伝説

俺的な人物さんによる都市伝説にまつわる怖い話の投稿です

ゆびきりさん
短編 2025/01/22 17:57 238view

友達の友達から聞いた話です。
――というのが、都市伝説の典型的な語り出しなんですってね。
要は実態のあやふやな話なんですけれど、聞いて頂ければ。

仮にKさんとしますか。
彼女の通う小学校で、【ゆびきりさん】というおまじないが流行ったことがありました。

やり方は簡単で、

1.紙に手形を描いた上で切り抜く。

2.親指・人差し指・中指・薬指・小指にそれぞれ異なる願いを書く。

3.予め目隠しをされた人……【ゆびきりさん】に、任意の指を一本ハサミで切らせる。

4.切られた指に書かれた願いが叶う。ただし、指は一生持っていなければならない。

というものでした。

異なる願いであれば、一人が複数の指を受け持つことも可能であるため、【ゆびきりさん】担当と合わせて、最低2人から遊ぶことの出来るおまじないだったそうです。

ビジュアルはともかく、よく取り沙汰されるこっくりさんほどリスキーではなく単純明快なため、低学年にもやり始める児童がいたといいます。

さて、Kさんはいじめられっ子でした。
私物を隠されたり、聞えよがしに悪口を言われたり、グループから外されたり、まあ小学生に思いつくいじめは一通り経験していました。
担任は口頭で軽く注意するのみで、真剣な対応をしてくれているとは言い難く、Kさんへのいじめは無くなりませんでした。

そこにきて【ゆびきりさん】の流行は、Kさんへの嫌がらせに拍車をかけるものでした。

「Kが死にますように」
「Kが不幸になりますように」
「Kが事故にあいますように」

「Kがケガをしますように」
「Kが転校しますように」

教室で、そんなKさんへの悪意を込めた【ゆびきりさん】を嬉々として遊ぶ同級生達。
Kさんはその光景を見て、一人うつむき涙をこらえる日々でした。

Kさんは一人っ子で友達がいません。
よって、最低2人から始まる【ゆびきりさん】も遊ぶことができません。
親にこんなおまじないに付き合ってもらうわけにもいきません。
いじめられていることすら、彼女は言い出せなかったのです。

「私も【ゆびきりさん】がやりたい。願いが叶ったらいいのに……」

Kさんへのいじめの道具にされている【ゆびきりさん】。
しかし、彼女には憧れのおまじないでもありました。

1/2
コメント(0)

※コメントは承認制のため反映まで時間がかかる場合があります。

怖い話の人気キーワード

奇々怪々に投稿された怖い話の中から、特定のキーワードにまつわる怖い話をご覧いただけます。

気になるキーワードを探してお気に入りの怖い話を見つけてみてください。