秋葉原で会いましょう
投稿者:ぺん (1)
短編
2025/01/16
21:51
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「こんにちは、マイさんだよね?」
「はじめまして、来てくれてよかった。実は来ないんじゃないかと思ってたから」
マイがゆっくりと振り返る。
真っ白な肌にガラス玉のような翡翠色の瞳。
まるでこの世のものとは思えない美少女だ。
いや……よく見るとそれは”人形”だった。
「嬉しいなあ、来てくれて」
ノイズの入った声でマイが喋る。
俺は身体が動かなくなっていたが、異変に気づいた健二に腕を引っ張られ我に返った。
「おい、あれなんなんだよ!?」
健二が怒鳴り散らす。
「いや、俺にも……わからない」
マイはしばらくケタケタ笑っていたが、目玉がぐるんと回転するとその場に倒れてしまった。
しばらくして警察と共に路地に戻ると、そこにはメイド服を着せられた人形が倒れていた。
当然だが動かす装置やスピーカーなんかはついてない、ただのゴム人形だったのだが
「まあ、タチの悪い悪戯でしょうね」
で済まされてしまった。
俺と健二はほとんど言葉も交わさずに、ラーメンだけ食べて解散した。
その後俺はSNSを退会、健二とはたまに会うがマイの話題だけはお互いに避けている。
あれ以降秋葉原に行けなくなってしまったのは言うまでもない。
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