見つけた

突然だが俺には変わった趣味がある。
それは夜中に散歩に行くことなんだが、多分俺以外でこんな趣味を持つ人はいないと思う。
少なくとも俺の周りにはいない。

この話はそんな夜中の散歩をしてた時に体験した話。

その日もいつものように夜中に近所を散歩していたんだが、何となくその日はもう少し遠くまで行ってみようと思い、普段は行かない道に進んでみた。

普段は通らない道の新しい発見にワクワクしながらしばらく歩いていると不意に後ろの方から、

「おーーーい」

と聞こえた。

俺はいきなりそんな声が聞こえたものだからものすごくびっくりしたんだが、気になって恐る恐る後ろを振り返ってみた。

俺のいる場所から数十メートルほど離れた

ところからそいつがこちらに向かって
手を振っている。

「おーーーい」

また聞こえた。

(まさか俺に向かって呼び掛けてるのか？)

俺の周りには誰もいない。
間違いなく俺に向かって呼び掛けている。

「おーーーい」

また呼ばれる。

(絶対ヤバい奴だ…)

そう考えてその場から立ち去ろうとした次の瞬間、

「見つけたァアア!!」

いきなりそいつは俺の方に向かってものすごいスピードで走ってきた。

「うわぁあああああ」

俺はみっともない叫び声を上げ全力で逃げた。
とにかく全力で走り続けた。

ものの数分くらい走っただろうか。
近くにコンビニを見つけた。
俺は慌ててそのコンビニに駆け込んだ。

いきなり駆け込んで来て息を切らしている俺を店員が白い目で見ていたが俺にそんなことを気にしてる余裕はなかった。