憧れの先輩
投稿者:たち (16)
私は思い切って、先生に相談することにしました。担任の先生は30代で生徒から人気の女性の先生でした。
今までの経緯を説明し、困っていると相談しました。
先生は、
「それは困ったわね…メガネをかけてて、髪を束ねてる子…」と言い黙ってしまいました。
「はい、誰なのかわかれば注意できるんですけど、僕は実際に見たことないので誰なのか…」と答え先生の方を見ました。
すると、先生は私の後方を目を見開きながら見ていました。
「先生?」と言い、すぐに後ろを振り返りました。
一瞬で恐怖が押し寄せてきました。
相談している教室のドアを少しだけ開け、片目で覗き込んでいる人がいました。
「先輩?」と思った瞬間に走り去って行きました。
先生と顔を見合わせ、無言の時間が流れました。
それから先輩を見かけることは無くなりました。転校?病気?とあまり深く考えず生活し、卒業する日がきました。
卒業式を終え、帰宅する前に校舎を眺めながら、
「先輩、俺も卒業するから。」と心の中で言い、学校を後にしました。
高校、大学、就職、結婚、子供にも恵まれ平凡な生活を送っていました。
娘も中学生になり、母校に通うようになりました。
授業参観があり、数十年ぶりに学校を訪れました。
「懐かしいな〜全然変わってないな。」と当時のことを思い出していました。
「先輩、どうしてるかな?好きだったなー」と先輩のことを思い出しました。
娘の授業参観も無事に終え、帰宅しようと廊下を歩いているとある生徒とすれ違いました。
「えっ?先輩」
振り返りましたが誰もいません。
「気のせいか笑。久々に先輩見たような気がしたな。相変わらず美人だ。」と1人で考えながら外で娘を待っていました。
ままなくして、娘が来たので「帰ろう」と言い歩き始めました。
だけど、娘はその場から離れずある一点を見つめていました。
「おーい!帰るよ!」と言っても娘はこちらに来ませんでした。
「どうした?」と近づき、娘の目線の先を見ると、そこには、
「先…輩…」
数十年前の姿のままの先輩が校舎の中からこちらを見ていました。その視線は冷たく、今まで見たことのない表情でした。
私は中学校時代の出来事の原因が先輩だったことを理解し少し震えました。
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