天気の良い日曜日、ベランダでタバコを吸っていると、
オレの目の前にUFOが現れた。
UFOと言ってもすごく小さくて、昔よくあったアルミの灰皿を上下に二枚重ねたような
そんな代物だった。プカプカ浮きながらオレの周りをまわっている。
オレはそれがおもしろくて、UFOをゆっくり誘導して部屋の中に呼び込んだ。
キッチンまで行き、ガスコンロの魚焼きグリルの蓋を開け、そこへ入るようUFOに指示を出した。大きさがちょうど良い。まるで秘密基地に入って行くようでワクワクする。
UFOがグリルの中に着陸する。
オレはグリルの蓋を閉め、ガスに点火した。最大火力だ。
あばれるUFO。
だがしばらくすると静かになった。
6分ほど焼いた後、取り出してみた。
なんだかいい匂いがする。
オレはUFOの真ん中あたりから包丁を入れ、開けてみた。
パカっと開いたUFOは、なんだか焼きたてのホタテ貝のようでうまそうだった。
さっそく醤油をかけて食ってみる。「うまい! 酒が欲しいなコレ!!」
オレはUFOを食いながらテレビをつけた。
「臨時ニュースを申し上げます!臨時ニュースを申し上げます!先ほど、世界各地に同時多発的に巨大UFOが現れ、地上を無差別攻撃しております!みなさん、ただちに軍や警察に従って避難してください!!」
ウウウウウウウーーーーー!! 街に不気味なサイレンが鳴りだした。昔映画かなんかで聞いた空襲警報のようなやつだ。どうやらオレの街にもその巨大UFOとやらが攻撃に来たらしい。
ベランダに出てまた煙草を一服する。
街のあちこちから火の手が上がり、巨大UFOからビームが放たれていた。街は大混乱だ。
オレは振り返って今しがた食ったUFOの殻を見ながらつぶやいた。
「みんなごめんなぁ・・・。たぶん、オレのせいやわ・・・知らんけど・・・」
オダギリジョーを念頭に置いて書きました。