後ろの赤い布
投稿者:AISeen (3)
夜の十時、高速道路を小さな車が走行中だ。
外は静かで単調、たまにしか通り過ぎるトラックがあるだけだが、車内は賑やかだ。山本は運転しながら、車内の他の3人と今日の観光の成果について熱く語り合っており、時折笑い声が車内に響く。
「で、あいつはさ……」
「お前も同じだろ……」
「ははは。」
「あれ、前に休憩所があるみたいだけど、寄ってみる?」
「賛成。」
「ちょうど喉が渇いた、ジュース買ってこよう、ジュース。」
「それなら向かうよ……え?」
「どうしたのか?」
「いや、さっき気のせいだったかな?車の後ろのワイパーに何か引っかかってるみたいなんだけど?」
「え?何かあるの?」
「赤い布?大丈夫、すぐに停めて取ってくるから。」
…………
……
「来て、ジュース。」
「おお、ありがとう。」
「どうだ、ずっと後ろを見て何かあったのか?」
「いや、別に。あのものは車を運転してる最中に風で飛ばされたんだろ。運転手変えるべきか?俺が運転するよ。」
「いやいや、大丈夫。とにかく何もないから、ジュース、ありがとう。」
…………
……
「え、山本、大丈夫か?」
「え?うん、何もないよ。」
「そうなの?休憩所から出てきた後、一直線に見つめてる感じだったからさ。」
「別に、別に……ただ感じるんだよね……バックミラーから見て、後ろのワイパーが赤い布で挟まれてるみたいだって。」
「赤い布?え?ないよ。」
「でも本当に赤い布を見たんだ、信じないなら見てごらん。」
「何?あるのか?あるのか?え?」
「そうだろ、あるって言ったろ、山本の視点から見るとバックミラーにちゃんと見える。」
「うーん……うーん?本当に見えるみたいだ。」
「なんだ、なんだ?」
「え?本当に何かあるの?」
「そうだ、君たちも見て、山本の視点から見たら後ろに何かあるみたいだよ。」
「だめだ、気になるから、ちょっと停める。」
「え?でもまだ休憩所まで来ていないよ……」
「ここで緊急車線に停めてもいいんじゃないかな、周りに車もいないし。山本、ちょっと運転変わってもらえる?」
「いいよ、ちょっと停めるから。」
…………
……
「本当に運転席から見た方が見えるみたいだな。」
「これは、ちょっと怖い感じがするな、呪われたわけじゃないだろうか。」
「考え過ぎだよ、おそらく錯覚だけだろう。」
「でも君も見たんじゃないか……」
「え!気をつけて、車が来てるよ。」
「なんだか向こうから突っ込んできているような気がする!早く避けて!」
「ああああ!!!」
ぶーぶーぶーぶー!!!!
ドーン!
※コメントは承認制のため反映まで時間がかかる場合があります。