未解決事件

　とある殺人事件の被害者の自宅にてこんなことが書かれた手記が出てきた。

　俺はある迷宮入りした未解決事件の犯人を知っている。知ったのはほんの偶然だけどそれは重要ではない。俺はこのことは誰にも相談していない。もちろん警察にもだ。

　本当は言った方がいいとは思うけどその犯人実はもう死んでるんだよね。別に事件絡みではなくただの交通事故。たまたまニュースをみてたらその犯人と同じ名前で顔も似てる奴だったからたぶんそうだ。

　ただこれは建前、もし犯人が生きてても俺は警察にも言うつもりはない。だって面倒くさいじゃん。事情聴取とかいろいろされて仕事はもちろんプライベートにも支障がでる。俺思うんだよね、世の中にはこれ以外にもたくさんの未解決事件があるけど俺みたいに黙ってる奴は結構いるんじゃないかなって。氷山の一角なんて言葉があるけどこれにもあるような気がする。

　だいたい今の時代、至る所に監視カメラがあって指紋やちょっとした髪の毛とかでも本人が特定できるんだ。あくまでも理論上だけどどんな事件も今では解決できるんじゃないかなって思う。それができないのは確かな情報が足りてないか意図的に与えられてないか嘘の情報が混ざってるかのどれかだと思う。

俺はその手記をぐしゃぐしゃに丸めて強引にポケットにねじ込んだ。